日本工営が中国「一帯一路」で応札辞退、幹部が経済安保対策を解説

佐藤 斗夢

 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

建設コンサルタント大手の日本工営は、国益を守るために経済面での安全を確保する「経済安全保障」の観点から、中国が関係する国際プロジェクトへの入札参加を辞退するなど対策を進めている。日本工営営業本部の田村勤本部長代理に、経済安保対策の取り組みを聞いた。(聞き手は佐藤 斗夢=日経クロステック/日経コンストラクション)

日本工営の本社(写真:日経クロステック)

日本工営の本社(写真:日経クロステック)

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現状の経済安保上のリスクをどう見ているか。

 これまでの政治・経済体制におけるグローバル化の流れから、新たに分断の時代に入った。米国をはじめとするグループと、中国やロシアなどのグループとの対立が深刻化している。さらに、この2つのグループとは別の立場を取るインドのようなグループもある。

 

 

 そのため、企業はいずれのグループに軸足を置いて事業を展開すべきか、難しい立場にある。ただし、自国の国際的な立ち位置を踏まえると、日本企業が(ロシアによるウクライナ侵略で被害を受けた)ロシア領内の復旧・復興に携わることはハードルが高いと感じる。

 

 

経済安保対策にどう取り組んでいるのか。

 今後のあらゆるシナリオを想定することが重要だ。どのグループでの事業に当たるのかを見極めなければならず、情報収集力が一層求められるようになったと感じる。

 もちろん当てが外れることはあるが、情勢を読み取って先んじて事業に参画したことでチャンスをつくれたこともある。

 

 

 こうした取り組みの源流は、ミャンマーの事業を担当した2010年前後に遡る。現在は軍事政権に戻ってしまったものの、当時は民主化のタイミングを見越してプロジェクトを提案した。一企業なりに情報把握の重要性を感じた。

経済安保対策に当たっての注意点は何か。

 まずは各事業の担当部署で情勢把握を手掛けるようにしている。それでも判断に迷った時は、外務省など所轄官庁に話を聞くようにしている

 

 

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