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DIC川村記念美術館が国際文化会館の新西館に移転、SANAAが「ロスコ・ルーム」設計
中東 壮史
日経クロステック/日経アーキテクチュア
DIC川村記念美術館が国際文化会館の新西館に移転、SANAAが「ロスコ・ルーム」設計 | 日経クロステック(xTECH)
化学素材メーカーのDICは、千葉県佐倉市で運営する「DIC川村記念美術館」を2025年4月1日に休館し、東京・六本木にある「国際文化会館」に移転することを決めた。DICと国際文化会館は25年3月12日、アートと建築分野で協業することに合意したと発表した。
東京・六本木にある「国際文化会館」の外観(写真:国際文化会館)
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左がDICの池田尚志社長執行役員、右が国際文化会館の近藤正晃ジェームス理事長。2025年3月12日の記者会見で協業に合意したことを発表(写真:DIC)
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DIC川村記念美術館は1990年5月に開館した。戦後の米国美術を中心に20世紀のアートなどを750点以上所蔵している。DICが所有するのは、このうちの384点。ここから約4分の1に絞ったコレクションを中核として国際文化会館へ移転する。
中でもコレクションの目玉である
米国の画家マーク・ロスコの
抽象絵画「シーグラム壁画」7点は全て、
国際文化会館が建設する「新西館」内につくる
常設展示室「ロスコ・ルーム」で展示する。
貴重なシーグラム壁画は日本に残ることになった。
新西館と新たなロスコ・ルームの設計はSANAA(東京・江東)が手掛け、DICと国際文化会館が新ロスコ・ルームを共同運営する。
DICがDIC川村記念美術館を移転する背景には、同社の厳しい経営状況がある。
2023年12月期の連結決算で、最終損益は398億円の赤字を計上。
24年8月にはDIC川村記念美術館の運営を再検討する方針を発表していた。
同年12月には所有する美術品384点を4分の1程度まで縮小した上で、都内に移転する方針を固めた。
残り約4分の3の美術品は売却するという。
国際文化会館との協業で、
DICは美術館の運営管理費を従来の半分程度に削減できる見込みになった。
千葉県佐倉市にある「DIC川村記念美術館」の外観。25年4月に休館する予定だ。庭園や広場などの周辺施設を今後も利用できるようにするか、DICと佐倉市で協議している(写真:DIC
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Wiki
施設は1955年(昭和30年)に完成。宿泊施設、会議施設、レストラン、図書室などで構成され、講演会、シンポジウム、セミナーなどの会場として使用されるほか、結婚式場としても利用できる。建物は前川國男、坂倉準三、吉村順三の3人が設計した。
会館は麻布・鳥居坂の岩崎小弥太邸跡(現在の住所は港区六本木5丁目)にある。英文表記で「International House of Japan」を縮めて「I-House(アイ・ハウス)」と呼ばれる。
2022年7月、船橋洋一が代表を務めた一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブと合併した