水がたまらない大蘇ダム、全面補修後も「地中に想定以上の浸透」

青野 昌行

 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

水がたまらない大蘇ダム、全面補修後も「地中に想定以上の浸透」 | 日経クロステック(xTECH)

 

 

農林水産省九州農政局は熊本県産山村に建設した大蘇(おおそ)ダムで大量の漏水が続いている問題について、水が想定以上に地中へ浸透しているとする調査結果をまとめた。漏水対策を実施していない上流部の他、法面(のりめん)に吹き付けたコンクリートの目地などから水が漏れている。2025年度から追加の対策工事に着手する。九州農政局が25年2月26日に明らかにした。

大蘇ダム(写真:農林水産省)

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 大蘇ダムは農業用水を供給する堤高69.9m、堤長262.1m、有効貯水量389万m3のロックフィルダムだ。05年に本体工事が完了したが、その後の試験湛水(たんすい)で想定通りに水がたまらず大量の漏水を確認。10年度から順次、ダム湖の湖底と法面を全面的に遮水する補修工事を実施した。

本格供用前に実施した漏水対策工事の様子(写真:日経コンストラクション)

本格供用前に実施した漏水対策工事の様子(写真:日経コンストラクション)

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 しかし、20年の本格供用開始後も漏水は収まっていない。1日当たり最大で2万5000m3の水が地中へ浸透している。火砕流堆積物と火山灰土が交互に堆積するなど不規則で複雑な地質構造のため、想定以上の浸透が生じているという。

地質縦断図(出所:農林水産省)

地質縦断図(出所:農林水産省)

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「たまらない」ダム湖を全面補修

 阿蘇カルデラの東外輪山にある大蘇(おおそ)ダム。火砕流台地を川が浸食した渓谷に、工事のつち音がこだまする。堤体完成後の試験湛水(たんすい)で、想定より最大16倍もの水が周辺の地山に浸透することが判明...

2018/03/08