建設費202億円の「あなぶきアリーナ香川」開業へ、エンタメと部活の両立図る県立施設
星野 拓美
日経クロステック/日経アーキテクチュア
建設費202億円の「あなぶきアリーナ香川」開業へ、エンタメと部活の両立図る県立施設 | 日経クロステック(xTECH)
香川県の新しい県立体育館として、
約202億円をかけて建設された
「あなぶきアリーナ香川」が、
2025年2月24日に開業する。
曲面の白い大屋根が特徴の建物は、
瀬戸内海を望む高松市臨海エリア「サンポート高松」に立つ。
地下1階・地上2階建てで、
延べ面積は約3万m2。
メインアリーナと
サブアリーナ、
武道施設を
備える。
設計を手掛けたSANAA(東京・江東)は、
25年の
王立英国建築家協会(RIBA)
ロイヤルゴールドメダル受賞が
決まったばかり。
SANAAへの注目が世界的に高まっているタイミングで、
新体育館は始動することになる。
新しい香川県立体育館「あなぶきアリーナ香川」。曲面の白い大屋根によって、メインアリーナとサブアリーナ、武道施設が一体的に覆われている(写真:日経クロステック)
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あなぶきアリーナ香川は高松市臨海エリア「サンポート高松」に立つ。JR高松駅から徒歩5分の好立地だ。写真手前がメインアリーナ(写真:香川県)
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あなぶきアリーナ香川のフロアマップ(出所:あなぶきアリーナ香川のウェブサイト)
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アリーナ機能を付加して「稼げる体育館」目指す
新体育館はスポーツだけでなく、コンサートやMICE(国際会議や展示会)といった大規模イベントに対応できるよう計画されている。メインアリーナの固定席数は5024席だが、移動観覧席などを組み合わせれば、最大1万人程度を収容可能。天井から吊(つ)り下げて映像を表示する幅8.0m、高さ4.5mのセンターハングビジョンなど、演出を強化する設備も導入している。
メインアリーナのフロアの広さは78m×48m、最高天井高さは27.6m。バスケットボールコートが3面、フットサルコートが2面取れる。天井に吊(つ)り下げられたセンターハングビジョンは、1つの面の大きさが幅8.0m、高さ4.5m(写真:日経クロステック)
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メインアリーナはコンクリート床。スポーツ利用の際は、木製フロアを設置する(写真:日経クロステック)
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メインアリーナのコートを一望できるVIPルームを設置。VIPルームは4部屋ある。それぞれの部屋にテラスがあり、テラスにも座席がある(写真:日経クロステック)
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メインアリーナの移動観覧席(写真:日経クロステック)
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運営には、穴吹エンタープライズ(高松市)を代表企業とする「香川アリーナコンソーシアム」が指定管理者として入る。大規模イベントの企画・開催に強みを持つ民間企業の力を活用するのが狙いだ。
開業後は大物歌手が続々とコンサートを開催する。サザンオールスターズが25年3月1~2日、MISIAさんが4月5~6日、小田和正さんが9月20~21日にやって来る。そうそうたる顔ぶれだ。
コンサート以外のエンターテインメントも目白押し。格闘技イベント「RIZIN」を25年3月30日、国内最大級のファッションイベント「東京ガールズコレクション(TGC)」を5月6日に開催する。JR高松駅から徒歩5分の好立地を呼び水に、県外からの集客にも力を入れる。
「高い収益が期待できるアリーナ機能を付加することで、稼げる体育館にする。適切に維持管理するための収益構造を確立し、長期にわたって使い続けられるようにしようと考えた」。県教育委員会事務局新県立体育館整備推進課の矢野賢吾課長補佐は、新体育館の計画の狙いをこう説明する。
あなぶきアリーナ香川には1階と2階にそれぞれエントランスがある。なだらかな斜面を上った先にあるのは2階のエントランスで、固定席のフロアに直接アクセスできる(写真:日経クロステック)
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1階のエントランスを入ったエリア。管理事務室やアリーナのコートにアクセスできる。大規模イベントに対応するため、固定席フロアと競技フロアとでエントランスを分ける計画とした(写真:日経クロステック