ウクライナの家は売ります…!日本に来て3年、ウクライナ避難民の女性が「永住」を決意した「納得の理由」

水谷 竹秀、

 

 

週刊現代

 

 

 

 

ロシアのウクライナ侵攻から2月24日で3年……。

 

戦禍を逃れ、

 

 

今も日本で暮らすウクライナの避難民は1974人に上る('24年末時点)。

 

その多くは女性で、在留資格を「定住者」に切り替え、日本での永住を考える者も出始めた。彼女たちは日本でどのように生活を続け、何を感じ、そして日本という国をどう見ているのか。

 

 

 

前編記事『日本で暮らしたいけど…!戦争勃発から3年、ウクライナ避難民が直面する「生活支援終了」の現実』より続く。

 

 

 

 

 

ウクライナ避難民の大半が将来像を描けていない

日本財団でウクライナ避難民支援の事業を担当している神谷圭市さんは、支援者からの視点としてこんな課題を挙げた。

 

 

 

「重要なのは将来像が設定できているかどうか。たとえばウクライナに戻るのか否か。日本に滞在し続けるなら働いてキャリアを形成していくのか、子供の教育はどうするのかなど。肌感覚ですが、将来像が明確なのは避難民の4分の1ぐらいです」

ウクライナに戻るか否かは現地の情勢次第なので、その判断は難しい。かつ日本でのキャリア形成には言葉の壁も立ちはだかるだろう。神谷さんが続ける。

 

 

 

「日本語が話せなくても、工場勤務や清掃などの仕事はあります。ですが避難民たちは高学歴が多く、就きたい仕事には日本語力が必須なので、そこにミスマッチが生じています

 

 

戦争が終わっても日本に住み続ける

東京都江東区で夫(60歳)と娘2人で避難生活を送るハンナ・ポジダイェヴァさん(51歳)は、日本での留学経験があるため、日本語の会話にはほぼ問題がない。

 

現在は夫とともに大手家具メーカーで販売員として働いている。

 

 

 

「夫はウクライナで弁護士として働いていましたが、日本語ができないため、避難しても弁護士を続けられません。でも夫はプライドを捨てて日本に来ることを決意したのです。今は寸暇を惜しんで日本語を勉強しています」

娘たちは日本語学校に通いつつ、オンラインでウクライナの高校の授業を受けている。財団からの生活支援が終わってしまう不安はあるが、ポジダイェヴァさんは日本に永住するつもりだ。

「今年の夏にウクライナへ戻り、家を売ります。仮に戦争が終わっても経済の回復にどれだけ時間がかかるかわからない。今までの生活を捨て、日本で新しい人生を歩んでいきます」

避難民たちの多くは今、岐路に立たされている。

「週刊現代」2025年2月15日号より

 

 

ウクライナの家は売ります…!日本に来て3年、ウクライナ避難民の女性が「永住」を決意した「納得の理由」