横浜美術館が4年ぶり全館オープン、
乾久美子氏が
丹下健三の建築で
無料エリア設計
飯田 彩
ライター
横浜美術館が4年ぶり全館オープン、乾久美子氏が丹下健三の建築で無料エリア設計 | 日経クロステック(xTECH)
横浜市のみなとみらいにある「横浜美術館」が大規模な改修工事を終え、2025年2月8日に全館オープンした。24年11月1日にはリニューアルした一部エリアを先行開業していたが、全館がオープンするのは約4年ぶりとなる。
約4年ぶりに全館オープンした横浜美術館の正面入り口。四角形の看板を新たに設置した。2025年6月2日までリニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」を開催中(写真:飯田 彩)
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「おかえり、ヨコハマ」の展示風景。グランドギャラリーの大階段にアーティストの檜皮一彦氏の作品とともにスロープを設置し、階段の昇降が困難な来館者はスロープを上りながら作品を巡れるようにした(写真:飯田 彩)
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美術館は1989年に開館し、約30年が経過した
2021年3月から大規模改修工事のため
休館していた。
24年3月15日から
同年6月9日まで開催された
「第8回 横浜トリエンナーレ」の会場として部分的にリニューアルオープンしたが、
会期後に再び半年以上休館し、
改修の総仕上げを実施した。
全館オープンの目玉は、
誰でも無料で利用できる「じゆうエリア」の開設だ。
美術館のシンボルである大空間「グランドギャラリー」を中心に、
美術館前の広場に面した
2つのギャラリーや
美術図書室、
カフェ、
ミュージアムショップで構成し、
今回大幅に拡充した。
美術館をあまり訪れない人でも気軽に立ち寄れる「くつろげる美術館」に
かじを切り直した。
じゆうエリアだけでも多くの作品を鑑賞できる。
グランドギャラリーの建築空間自体はほぼ既存のままで、
エレベーターの新設など以外は変えていない。
左右の幅は約63m、
奥行きは約16m。
天井高は最高部が約16mある。
横浜美術館のエントランスホールであるグランドギャラリー。大階段の一角に今回製作したベンチや棚を配置し、座って本が読めるスペースを新設した(写真:飯田 彩)
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じゆうエリアの空間構築設計は、
乾久美子氏が主宰する乾久美子建築設計事務所(東京・新宿)が
手掛けた。
ロゴやグラフィックデザインなどを担当した
菊地敦己事務所(東京・港)と協働している。
25年2月7日に開かれた「おかえり、ヨコハマ」展ギャラリーツアーの登壇者。
前列左から、
横浜美術館館長の蔵屋美香氏、
出品作家の檜皮一彦氏、
建築家の乾久美子氏、
グラフィックデザイナーの菊地敦己氏、
コピーライターの国井美果氏。
後列左から、
いずれも出品作家の
クリス・チョン・チャン・フイ氏、
百瀬文氏、
松田修氏
(写真:飯田 彩)
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横浜美術館は全館オープンに合わせて、
リニューアルオープン記念展となる「おかえり、ヨコハマ」を開催。
縄文時代から現代までの横浜を、
アートを介して振り返る。
同館のコレクション展も同時開催している。
蔵屋美香館長は記念展のタイトル通り、
「おかえりと言って誰でも迎え入れるような美術館にしていきたい。1万点を超えるコレクションを生かした教育活動にも力を入れる」と意気込みを語る。
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2024/07/25