陥没事故受け上下水道の老朽化対策も、国土強靱化の次期5カ年計画
安藤 剛
日経クロステック/日経コンストラクション
陥没事故受け上下水道の老朽化対策も、国土強靱化の次期5カ年計画 | 日経クロステック(xTECH)
政府は2026年度に開始する国土強靱(きょうじん)化の次期5カ年計画で、社会インフラの耐震化など災害耐力の向上と共に、老朽化対策にも注力する。具体例として25年1月、埼玉県八潮市で下水道管の破損に伴って起こったと見られる道路陥没事故に触れ、上下水道の老朽化対策を挙げた。25年2月5日に開いた国土強靱化推進会議(議長:小林潔司京都大学名誉教授)で提示した計画策定方針の一環だ。
埼玉県八潮市の道路陥没現場。2025年2月1日に撮影(写真:日経クロステック)
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国土強靱化基本法に基づく中期計画は現在、21~25年度の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(以下、加速化対策)が進行している。政府はこれに続く「国土強靱化実施中期計画」(以下、実施中期計画)を25年6月ごろ閣議決定する予定だ。25年2月5日の会議で、実施中期計画の策定方針案を示した。
■国土強靱化に向けた事業
事業規模は民間による事業を含む(出所:内閣官房などの資料を基に日経クロステックが作成)
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■国土強靱化実施中期計画で新たに加わる要素の例
(出所:内閣官房の資料を基に日経クロステックが作成)
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下水道管の老朽化については、加速化対策にも「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策」の一環として「下水道施設の老朽化対策」という項目がある。実施中期計画では、政府は「緊急性を要する(インフラ)損傷箇所の集中的な修繕・更新、防災・減災対策」の一環として「上下水道などの一体的耐震化を考慮した老朽化対策」を掲げる方針を示した。
上下水道施設の耐震化では、浄水場や送水管などの「急所施設」に重点を置く考えを新たに示した。24年1月の能登半島地震で上下水道の被害が大きかったことへの対策として、国土交通省が上下水道システムの中でも機能を大きく左右する施設を「急所施設」として重視する姿勢を打ち出したのを反映させる