清水建設で9年ぶり社長交代、新社長に新村副社長「建設事業を立て直す」
奥山 晃平
日経クロステック/日経アーキテクチュア
清水建設で9年ぶり社長交代、新社長に新村副社長「建設事業を立て直す」 | 日経クロステック(xTECH)
Torch Tower(トーチタワー)」で起こり得るリスクを全て潰していく――。2025年4月1日付で社長に昇格することが決まった清水建設の新村達也副社長は同年1月31日の会見で、建設事業の立て直しに向けた意気込みを語った。24年3月期に営業赤字に転落した経験を踏まえ、「現場重視」を徹底する。同社の社長交代は16年4月以来、約9年ぶりとなる。
清水建設は25年1月31日の取締役会で社長交代を決定した。建設事業の枠を超えた価値を提供する「超建設」を掲げてきた井上和幸社長は、新村氏の昇格に伴って会長に就任する。宮本洋一会長は代表権のない相談役となり、25年6月下旬の株主総会を経て取締役を退任する予定だ。
左が清水建設の井上和幸社長、右が次期社長の新村達也副社長(写真:日経クロステック)
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新村氏は1961年生まれの63歳。石川県出身で、84年に早稲田大学理工学部建築学科を卒業し、同年に清水建設に入社した。2017年に執行役員に就き、東京支店長などを経て24年に副社長に就任した。
入社直後にはクウェートの火力発電所建設の現場を担当。国内では現場の施工管理といった外勤だけでなく、内勤として施工計画の検討支援などに従事した経験もある。19年からは横浜、名古屋、東京の各支店長を務めた。新村氏は「国内外、内勤・外勤、本店・支店と様々な立場を経験させてもらった。多種多様な分野で業務に携わってきたことで、いろんな人の気持ちが分かるようになったことが強み。今後の経営にも生かしていけるはずだ」と語った。
新村氏は自らのキャリアを通じて印象に残っている建築物として、1989年に開催された横浜博覧会の展示施設「開港記念村」を挙げた。現場では主任を務め、施設の解体まで担当した。「建物のライフサイクルを経験できたのは非常に印象に残っている」と新村氏は振り返る。
施工計画の技術検討に携わったJR金沢駅前の「もてなしドーム」(2005年)については、「図面を見たときには、こんなものが施工可能なのだろうかと感じたが、無事に完成できた。清水建設の総合力を実感した」と語る。この他、施工管理を担当した「いしかわ総合スポーツセンター」(08年)と「北国新聞赤羽ホール」(08年)では、BCS賞を2年連続で受賞している。
清水建設の新村達也副社長(写真:日経クロステック