「次にやるべきは、次のレベルへと引き上げること」

英紙が東原会長に聞いた「なぜ日立製作所は驚異的な変貌を遂げたの?

 
 

 

フィナンシャル・タイムズ(英国)

 

Text by Harry Dempsey and David Keohane in Tokyo

 

肥大化した複合企業のスリム化と改革を経た日立製作所に新社長が誕生。今後の課題は、急成長した業績の維持とデータ中心ビジネスモデルの海外展開だ。今後の向かう先について、日立を建て直した東原敏昭取締役会長に英紙が聞いた。

創業114年で急成長した理由


日立は、人工知能(AI)ならびにクリーンエネルギーの需要急増で最大の恩恵を享受した企業の一つだ。徹底的な経営刷新を経て、時価総額で日本企業トップ5の仲間入りを果たすまでに急成長した。

創業114年の総合電機メーカーである同社は、産業用ソフトウェアとハードウェアのメーカーへの変貌を支えてくれた投資家に報いたかたちだ。時価総額はここ2年で3倍になり、1000億ドル(約15兆円)を超えている。

日立は、2009年に倒産の危機に瀕した。しかしいまでは、デジタルとデータ分析能力を柱にした成長を加速させるべく、次の段階に進もうとしている。
 

昨年12月には、IT事業部門で34年の経験を積んできた徳永俊昭(57)を執行役社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格すると発表した。父親も日立の従業員だったという徳永は今後、AI事業への取り組みならびにそれに見合った膨大な時価総額の維持という課題に立ち向かってい