ミケーレ・デ・ルッキ氏設計の万博「北欧館」、柿渋と墨で仕上げる船小屋パビリオン
奥山 晃平
日経クロステック/日経アーキテクチュア
ミケーレ・デ・ルッキ氏設計の万博「北欧館」、柿渋と墨で仕上げる船小屋パビリオン | 日経クロステック(xTECH)
足場の解体が待ち遠しいパビリオンが、大阪・関西万博の会場で建設の追い込みに入った。
アイスランドと
スウェーデン、
デンマーク、
ノルウェー、
フィンランドの
北欧5カ国が共同で出展する海外パビリオン「北欧館」だ。
2024年10月には骨組み工事を終え、現在は木の外壁を設置する工事や内部仕上げを進めている。
建設中の「北欧館」。外壁の設置を進めている(写真:日経クロステック)
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基本設計は、
イタリアの建築家で
日本でもその名を知られる
ミケーレ・デ・ルッキ氏、
実施設計は
ルッキ氏が主宰する建築スタジオAMDL Circleが担当している。
ルッキ氏は
北欧館の国際コンペで北欧と日本の伝統的な文化や素材などを融合したデザインが評価され、設計者に選ばれた。
施工はイタリアの建設コンサルタント会社RIMOND(リモンド)が手掛ける。
さらに神戸市のビームスコンストラクションが施工協力している。
24年5月20日に着工し、
25年2月中旬に竣工する予定だ。
万博開幕まで3カ月を切った25年1月20日には、
東京都内で5カ国共同のレセプションが開かれた。
会場は
デンマークの家具メーカーである
カール・ハンセン&サンの東京本店だ。
北欧館建設の進捗報告や、
万博に参加する国・地域がそれぞれの文化などを紹介する「ナショナルデー」のテーマを発表した。
北欧5カ国はそれぞれ別々にナショナルデーを開く。
例えば、
ノルウェーは
「再生可能エナジーと海の環境にやさしいビジネス」、
フィンランドは
「ハピネス」をナショナルデーのテーマに掲げた。
デンマークの家具メーカーである
カール・ハンセン&サン東京本店で
開かれた「北欧パビリオン 万博開幕3カ月前レセプション」の様子。
写真は北欧館の建設工事の進捗を報告した、
ノルウェーのコミッショナー・ジェネラル補佐であるダグ・オラブ・コッペルビク氏(写真:日経クロステック)
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北欧5カ国によるパビリオンは、
05年に開かれた愛知万博(愛・地球博)以来となる共同出展の試みだ。
北欧館のテーマは
「ノルディック・サークル」。
5カ国が協力し、
共に持続可能な発展を目指すという意味を「サークル」に込めた。
建物の屋根は、
途中で折れ曲がったように勾配が変わる。
積もった雪が地上に滑り落ちやすい形状だという。
「北欧の伝統的な船小屋をイメージした」と、
ノルウェーのコミッショナー・ジェネラル補佐である
ダグ・オラブ・コッペルビク氏は
説明する。
足場が取れれば、
複雑な装飾を排したシンプルな船小屋風の建物が姿を現す。
北欧館の外観イメージ。木材で建物全体を覆う(出所:The Nordic Pavilion)
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場所は大屋根(リング)の内側で、
南東工区に位置する。
会場の南側には
海に見立てた水辺が広がっており、
その上に立つ大屋根を境にして外側を「つながりの海」、
内側を「ウォータープラザ」と呼ぶ。
北欧館はウォータープラザの目の前に建つ。
まさに水辺の近くに立つ船小屋のようだ。
ウォータープラザでは
毎日、水上ショーが開かれる。
北欧館を訪れる人はショーにも注目するとよい。
北欧館は3階建てで、
高さは17m。
延べ面積は1499m2で、
構造は鉄骨造。
展示スペースや
ルーフトップカフェに加え、
ビジネスプロモーションや
イベントを開催するためのホール、
ビジネスセンターを設置する。
北欧館の3階。ルーフトップのカフェになる予定(写真:日経クロステック)
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ルーフトップカフェのイメージ(出所:The Nordic Pavilion)
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