外環道工事でいよいよ難関の合流部に着手、2本のトンネルを地中で一体化
青野 昌行
日経クロステック/日経コンストラクション
東京外かく環状道路(外環道)の大深度地下工事で、難度の高い分岐・合流部を造る地中拡幅が2025年1月下旬にも始まる。4カ所8工区ある地中拡幅部のうち、東名ジャンクション(JCT)で本線シールドとランプシールド(連結路)の2本のトンネルを一体化する工事に着手する。
地中拡幅工事を実施する東名JCT南行きの本線坑内(写真:国土交通省、NEXCO東日本、NEXCO中日本)
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東名JCTの地中拡幅を巡っては、事前に大林組、鹿島、熊谷組の3社に技術開発業務を約6億円で委託したにもかかわらず、実際の工事は安藤ハザマと前田建設工業をそれぞれ代表とする共同企業体(JV)が受注した経緯がある。
東名JCT付近は比較的地盤の条件が良く、既存工法で施工可能だとする学識者の意見を踏まえたという。安藤ハザマが受注した首都高速中央環状品川線の大橋連結路工事とほぼ同じ工法を採用。2本のトンネル間をNATMで掘削して拡幅する。
安藤ハザマが担当した首都高速中央環状品川線の大橋連結路工事の様子。東京外環トンネル施工等検討委員会の資料から(出所:国土交通省、NEXCO東日本、NEXCO中日本)
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地中拡幅部は東名JCTと中央JCT北、中央JCT南、青梅街道インターチェンジ(IC)の4カ所にあり、それぞれ南行きと北行きに工区が分かれる。発注業務は、工区によって東日本高速道路(NEXCO東日本)と中日本高速道路(NEXCO中日本)が分担する。
地中拡幅部の位置図(出所:国土交通省と高速道路会社の資料を基に日経クロステックが作成)
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東名JCTのランプシールドと地中拡幅工事の概要(出所:国土交通省、NEXCO東日本、NEXCO中日本)
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東名JCTではランプシールドの構築と地中拡幅工事を一体で発注。南行きを安藤ハザマ・西松建設・日本国土開発JV、北行きを前田建設工業・奥村組・安藤ハザマJVが受注した。いずれも16年9月に契約を締結。当初の工期は20年6月までだったが、工事が大幅に遅れている。
地中拡幅部は、2本のトンネルに挟まれた箇所の上方と下方をそれぞれ掘削して一体化する「標準拡幅部」と、本線シールドの断面を拡大する「部分拡幅部」に分かれる。東名JCT南行きの標準拡幅部では、次の手順で施工する。
東名JCT南行きの地中拡幅工事の概要(出所:国土交通省、NEXCO東日本、NEXCO中日本)
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