リニア静岡県境に向け先進坑掘削へ、長尺ボーリングは県内10mで詰まり中断
青野 昌行
日経クロステック/日経コンストラクション
JR東海は山梨県内で進めているリニア中央新幹線の南アルプストンネル建設工事について、静岡県との県境に向けた先進坑の掘削を2025年1月にも始める。先立って実施していた高速長尺先進ボーリングは「孔詰まり」によって、県境から静岡県内に10m入った地点で中断した。同社が24年12月17日、有識者でつくる静岡県の専門部会で明らかにした。
高速長尺先進ボーリングの機器。写真は作業開始前の状態(写真:JR東海)
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JR東海によると、先進坑は現在、県境から山梨県側に501mの地点まで完了している。ここから24年5月に口径の小さい先進ボーリングを開始。孔口から370m付近に地質のもろい区間があったものの、昼夜連続の削孔で通過した。さらに県境を10m過ぎ、孔口から511m進んだところでビット(先端部)交換のため削孔ロッドを引き抜いた。その後、地質のもろい箇所で土砂が崩れ、孔詰まりが発生した。
高速長尺先進ボーリングの進捗(出所:JR東海)
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孔詰まり箇所の削孔を試みたものの、孔口から370m付近よりも先に進めなかったことから、ボーリング調査をいったん終了。調査が済んだ範囲で先進坑を掘削することにした。
先進坑掘削などの手順。県境の手前で先進坑の掘削を停止する(出所:JR東海)
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高速長尺先進ボーリングの実施実績(出所:JR東海)
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孔口からの湧水量は、削孔延長10m当たり最大で毎秒0.66リットルと、管理値の毎秒50リットルを下回る。これまでの先進坑の掘削実績から、先進ボーリングで湧水量が少ないことを確認した区間では、トンネル切り羽(掘削面)からの湧水も少ないことが分かっている。
JR東海では先進坑の掘削に当たり、湧水量を常時計測して変動を把握し、静岡県などの関係機関へ定期的に報告するとしている。先進坑の掘削は、県境の少し手前でいったん停止。その後、先進坑の先端部から静岡県内に向けて再度、先進ボーリングを実施する考えだ。
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