清水建設が国内最大級のタワークレーンで風車建設、風力発電の大型化見込む
道北風力発電事業 芦川ウインドファーム建設工事(北海道)
門馬 宙哉
日経クロステック/日経コンストラクション
国内最大級の揚程のタワークレーンで陸上風車を建設する。地組みした風車がぶつからないよう、事前に3次元モデルで据え付け作業をシミュレーション。風車メーカーに対する施工品質の証明にもつなげた
上架後の風車とSMTCのドローン映像(動画:新津 良昌)
北海道宗谷地域で、陸上風力発電の風車建設が佳境を迎えていた。風車支柱の最上部にある機械室「ナセル」に、3枚のブレードと風車中央のハブを組み合わせた部材「ローター」を取り付ける。取材当日は小雨がぱらつくあいにくの天気だったが、国内最大級の最高揚程152mの移動式タワークレーン「S-Movable Towercrane(SMTC)」が約30分でローターを持ち上げた。
2台のクレーンで角度を変えながらローターを持ち上げる様子(写真:新津 良昌)
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ここは、ユーラスエナジーホールディングス(東京・港)が陸上風車100基以上を計画する道北風力発電事業の1つ、「芦川ウインドファーム」の現場だ。同社が出資して設立した道北風力(北海道稚内市)が発注した。
同ファームでは、清水建設が単機出力4.3MWの風車を31基整備する。工期は2020年3月から25年6月まで。ローターは設置高さが約85mで、直径が120mだ。31基全て同じ仕様で施工する。
SMTCを用いてローターを持ち上げている。取材当日に上架した風車とは別の風車。奥に道北風力発電事業で建設した複数の風車が見える(写真:清水建設)
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風車の立面図。ハブにブレードを組み合わせたローターを、支柱最上部のナセルに据え付ける(出所:清水建設)
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国内最大級のSMTCは清水建設とエスシー・マシーナリ(横浜市)、IHI運搬機械(東京・中央)が共同で開発した。31基のうち2基で使う。
4MW級の風車建設は一般に、最高揚程110mほどの1200tオールテレーンクレーンを使用する。この風車で必要な揚程は約85mのため、SMTCだとオーバースペックになる。それでも、わざわざ開発したのは今後、国内の風力発電需要が増加すると見越してのことだ。
SMTCと1200tオールテレーンクレーンの比較(出所:清水建設の資料を基に日経クロステックが作成
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