渋谷・玉川上水旧水路
緑道を
100億円超かけて再整備、
建築家の田根剛氏が設計
日経クロステック/日経アーキテクチュア
渋谷・玉川上水旧水路緑道を100億円超かけて再整備、建築家の田根剛氏が設計 | 日経クロステック(xTECH)
玉川上水旧水路緑道の再整備後のイメージ(出所:Atelier Tsuyoshi Tane Architects)
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渋谷区は、笹塚から代々木までの約2.6kmにわたる都市公園「玉川上水旧水路緑道」の再整備を進めている。緑道のランドスケープデザインを担当するのは建築家の田根剛氏だ。これまでに、「エストニア国立博物館」(2016年完成)や「弘前れんが倉庫美術館」(20年完成)など国内外のプロジェクトを手掛けてきたことで知られる。田根氏は24年12月5日の会見で、再整備の概要やコンセプトなどを語った。
緑道の設計コンセプトを説明する建築家の田根剛氏(写真:日経クロステック)
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計画のコンセプトのイメージ。約2.6kmにわたって緑道を整備する(出所:Atelier Tsuyoshi Tane Architects)
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玉川上水旧水路緑道は笹塚緑道、大山緑道、幡ヶ谷緑道、西原緑道、初台緑道、代々木緑道から成り、1982~85年度にかけて整備された。都市公園法に基づく都市公園として設置・管理されている。整備から約40年が経過して、緑道全体で老朽化が進んでいた。区は緑道の再整備に向けて、2016年度から動き始めた。ワークショップや座談会を開き、地域の住民らの声を集めてきた。
緑道の再整備にかかる総事業費は約110億円。24年8月に大山緑道の一部分で工事に着手した。26年度までに全ての区間で工事に着手する予定だ。
24年12月6日には、再整備の計画などを周知する情報発信施設をオープンした。計画のコンセプトやこれまでの経緯、ワークショップの記録などを説明するパネルの他、再整備後をイメージした模型などを展示する。区は施設のオープン前日である24年12月5日に会見を開き、渋谷区の長谷部健区長と田根剛氏が登壇した。
2024年12月6日に代々木緑道内でオープンした情報発信施設の外観(写真:日経クロステック)
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情報発信施設には、計画の経緯などを説明するパネルや模型が展示されている(写真:日経クロステック)
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田根氏は会見で、
「再整備のコンセプトは『FARM(育てる・育む)』だ。現在、東京は都市化が進んで人口が集中している。食を消費するスピードが加速する一方で、食を育てる環境は激減している状況だ。そういった状況を踏まえ、公園だけではなく、人々が参加・活動できるような場を設けた」と述べた。
可能な限り既存の木々を残した上で、老朽化した施設を新しくする。各地域の利用実態、特徴に合わせて広場や農園をつくり、緑道が人と人とのつながりを育む公園となることを目指す。
区は22年から緑道内で土づくりや野菜の栽培などに取り組む「仮設FARM」を進めている。緑道に整備する農園の運営方法を検討したり、地域のコミュニティーをつくったりすることに活用する。仮設FARMでは現在、公募で選ばれた参加者が水やりや植物の手入れなどを共同で実施している。
玉川上水旧水路緑道の再整備後のイメージ。既存の樹木に加え、様々な植栽を新たに加える(出所:Atelier Tsuyoshi Tane Architects)
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玉川上水旧水路緑道の再整備後のイメージ。緑道内に農園を設ける(出所:Atelier Tsuyoshi Tane Architects