泉岳寺駅直結ビルはOMA重松象平氏デザイン、東急不動産と京急が31年度完成計画
山﨑 颯汰
日経クロステック/日経アーキテクチュア
泉岳寺駅直結ビルはOMA重松象平氏デザイン、東急不動産と京急が31年度完成計画 | 日経クロステック(xTECH)
東京・品川エリアの開発が止まらない。舞台は京急本線品川駅の隣、「泉岳寺駅」まで広がっていく――。東急不動産と京浜急行電鉄は2024年11月28日、泉岳寺駅直結となる高さ約145mのビルが同年11月1日に着工したと発表した。31年度の完成に向けて、開発を進める。
2031年度の完成を目指す泉岳寺駅直結ビルの外観イメージ。24年11月1日に着工(出所:東急不動産)
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赤く示した箇所が東急不動産と京浜急行電鉄が開発しているエリア。近くにJR山手線の高輪ゲートウェイ駅や品川駅がある(出所:東急不動産)
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開発は東京都が施行者として進める「東京都市計画事業泉岳寺駅地区第2種市街地再開発事業」の一環である。東急不動産と京浜急行電鉄から成るコンソーシアムが、21年6月から特定建築者として参画している。当初は23年4月に着工予定だったが、「細かな調整に時間を要したため、着工時期が1年以上遅れた」(東急不動産)。
同事業は、泉岳寺駅のホーム拡幅工事と連携する。「東京都交通局経営計画2022」では、これまで国道15号の直下に独立していた泉岳寺駅のホームを、新築建物と地下でつなげる構想を掲げている。さらに、5m程度だったホームの幅を約10mに広げ、改札やコンコースも拡張する方針だ。計画発表時点では、27年度の工事完了と供用開始を予定している。
泉岳寺駅の拡張工事。東京都が22年に公表した「東京都交通局経営計画2022」の資料から抜粋。泉岳寺駅がビルと直結する(出所:東京都)
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環境に配慮した外観デザインを提案
着工したビルは地下3階・地上30階建てで、敷地面積は約8490m2、延べ面積は約11万2300m2。構造は、鉄筋コンクリート造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造。設計・施工は鹿島が手掛ける。
建物の外観デザイナーには、
オランダの建築設計事務所 OMAで
パートナーを務める重松象平氏を起用する。
重松氏が近年携わっている建築には、
都内の「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」や
「原宿クエスト」、
米国の「ティファニー・ニューヨーク本店改修」などがある。
外観のデザインに当たって、事業者は特に環境への配慮を求めた。
重松氏は、
日射量に応じて
向きや
疎密を調整できる
ファサードを
外装ルーバーとして
採用することを提案。
施工者を含めて議論を重ね、
建物内に入り込む日射量を低減するデザインとした。
建物の高層部には約350戸の住宅を設け、
低層部には
オフィス機能を備える。
その他、
店舗などの商業施設や
子育て支援施設などの
入居を予定している。
建物の用途構成。24年11月時点の計画に基づくもの(出所:東急不動産)
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オフィスエントランスのイメージ。オフィスはビルの低層部に設ける予定(出所:東急不動産)
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泉岳寺駅前に当たるビルの地下1階に駅前広場を設置する(出所:東急不動産)
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ビルの環境性能の高さを証明するため、
各認証取得を目標にする。
住宅部分においては、
建物で消費する
年間の1次エネルギー消費量を
20%以上削減する
「ZEH-M Oriented」(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション・オリエンテッド)認証の
取得を目指す。
オフィス部分では、
同消費量を30%以上低減する「ZEB Oriented」
(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・オリエンテッド)認証を受ける予定だ。
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