無理をしない」こと、他所をベンチマークに身近な外国人に聞き取りを

欧米・オーストラリア人の富裕層に刺さる「地方コンテンツの作り方」

 

 

 

欧米・オーストラリア人の富裕層に刺さる「地方コンテンツの作り方」 | クーリエ・ジャポン

 

クーリエ・ジャポン

 

Text by COURRiER Japon

 

円安とコロナ禍明けを受け、拡大を続けるインバウンド市場。

 

今後の課題とされるのが

「富裕層の取り込み」だ。

 

日本文化への関心が高いと言われる欧米・オーストラリアの富裕層をひきつける、

コンテンツの作り方とは。

 

 

インバウンドコンサルティングや

旅行事業を手掛ける

 

BOJ社CEOの野口貴裕から話を聞いた。

 

 

 

 

 

BOJ社CEOで

観光庁「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり事業」

専門家も務める、

野口貴裕

 

 

 

代表取締役

野口 貴裕

カナダの高校・大学を卒業し、アメリカ赴任も合わせて計12年北米に在住。「まだまだ知られぬ本当の日本の美しさ」の伝道をミッションに欧米豪×富裕層旅行者に対してテーラーメイドで旅行提案を行う。環境省やスポーツ庁、せとうち観光推進機構等の事業をはじめ各地で商品開発や販売支援、アドバイザリー業務を行い、ワークショップや国内外での講演活動の実績も豊富。

観光庁「歴史的資源を活用した観光まちづくり事業」専門家
観光庁「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり事業」専門家
東京観光財団「富裕層事業 (TLA) 」アドバイザー / 沖縄県「富裕層事業」アドバイザー

 

取締役CSO
訪日コンサルティング事業部 事業部長

笹島 健太

創業から参画し、全国各地での魅力発掘に伴走。地域に眠る日本本来の良さを活かした欧米豪訪日客に好まれる素材の掘り起こしが得意。ITスタートアップ企業の経営・売却経験や大企業をはじめ複数社の経営・事業コンサルや顧問経験を有するため、事業開発やマーケティング、ブランディングにも強みがあり、地域や事業者の困りごとを様々な角度から支援可能。

観光庁「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり事業」専門家

 

「唯一無二」が地方の魅力を引き出す


──インバウンド客の地方誘致は、大きな課題でもあります。どのようなコンテンツが欧米・オーストラリアからの富裕層旅行者を呼び寄せるのでしょうか?

野口 その地でしか体験できないコンテンツです。

彼らは、「日本」ではなく「地方」を体験しに来ています。前回、東京・京都といった定番化した観光地に加え、地方にまで足を延ばす外国人富裕層が増えたというお話をしましたが、わざわざ地方に来る方は、それなりの期待感を求めてやって来ているわけです。
 

うどん作りやそば作り、着物体験などは外国人にとっては人気の体験コンテンツとして定番化していますが、日本中どこでも体験可能です。地方に足を運ぶ富裕層旅行者は、東京・京都では味わえない、その地域特有の「何か」を求めていらっしゃっています。そのことに、もっと注意を向けなければなりません。

日本の地方には、実に多彩な地域資源があります。たとえば、青森県のねぷた祭り、瀬戸内海と調和するようにデザインされた直島の草間彌生のかぼちゃのオブジェなど、その地域でしか体験できない食べ物や景色、伝統や文化が存在しています。こうした希少性をいかした旅行プランや体験コンテンツを創出することが大切です。

その地に住む人にとっては「なんてことのない」ような光景でも、外国人には魅力的に映る場合があります。

「外国人は着物が好きだろう」「そば作りが人気らしい」などというありがちなイメージからコンテンツを作るのではなく、その土地特有のものをいかしたコンテンツこそ、地方誘客のカギになるのではないかと思います。

──しかしながら、「外国人富裕層の目線」を地方事業者が持つのは難しいように思います。どうすれば彼らにとって魅力的なコンテンツを創出できますか?
 

野口 無理に富裕層をターゲットとする必要はありません