北海道新幹線の羊蹄トンネル再び掘削停止、再開翌日に新たな岩塊出現
佐藤 斗夢日経クロステック/日経コンストラクション
北海道新幹線の札幌延伸に向けて建設中の羊蹄(ようてい)トンネルで、シールド機停止の原因となった岩塊を撤去し2024年11月18日に掘削を再開した直後、新たな岩塊にぶつかり翌19日に掘削を再び停止した。鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が11月22日に発表した。
2024年11月までに撤去した岩塊(写真:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
[画像のクリックで拡大表示]
新たな岩塊が出現したのは、北海道の倶知安(くっちゃん)町とニセコ町にまたがる延長約9.8kmの羊蹄トンネルのうち、新函館北斗側の延長約4.2kmの有島工区だ。同工区は熊谷組・不動テトラ・宮坂建設工業・橋本川島コーポレーション共同企業体(JV)が施工している。
有島工区の位置図(出所:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
[画像のクリックで拡大表示]
工期は19年2月~26年8月で、契約金額は約300億円。シールド機で掘削しながら、壁面をセグメントの代わりに場所打ちコンクリートで覆工するSENS(センス)工法を採用。地表面から深さ約15~27mの地点で、外形約12mのトンネル断面を掘削している。
24年4月、新函館北斗側の坑口から2464m掘進した地点で岩塊が見つかり掘削を停止した。岩盤の撤去に当たっては、地上からケーシングと呼ぶ鉄製の筒を回転しながら地盤に挿入して筒の中を掘削するオールケーシング工法を採用した。岩塊を撤去し11月18日からシールド機による掘削を再開した。
オールケーシング工法で岩盤を取り除く様子(写真:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
[画像のクリックで拡大表示]
掘削再開後3m進むと岩塊に遭遇
ところが翌日の11月19日、掘削再開後約3m進んだ地点でシールド機のカッターヘッドなどを回転させる力(カッタートルク)が上限値に達した。新たな岩塊にぶつかったと判断し、掘削を停止した。
鉄道・運輸機構の広報・渉外課によると、24年4月に掘削停止したときと同様の事象が発生していたことを踏まえ、今回もシールド機に取り込めない約1m以上の岩塊に遭遇したと判断した。
羊蹄トンネルでは22~23年度にかけてボーリング調査などを実施し、岩塊が存在するある程度の範囲は把握していた。ただし、岩塊の正確な大きさや位置を把握するのは難しかったという。
今回も同様に、地上からオールケーシング工法を用いて岩塊を撤去する。24年11月25日から作業に着手している。撤去作業にかかる期間は未定。工期に影響するような工程の遅れを招く可能性がある