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東京芸大に「魅せる収蔵庫」、六角鬼丈氏の既存棟にヨコミゾ氏が増築設計
長井 美暁
ライター
東京芸大に「魅せる収蔵庫」、六角鬼丈氏の既存棟にヨコミゾ氏が増築設計 | 日経クロステック(xTECH)
「東京芸術大学大学美術館取手収蔵棟」の外観。右手に一部写るのが1994年竣工の大学美術館取手館(写真:東京芸術大学)
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東京芸術大学の取手キャンパスに「東京芸術大学大学美術館取手収蔵棟」が2024年3月に完成し、同年9月25日に竣工記念式典が行われた。取手収蔵棟では新しい試みとして、収蔵作品を見学できる空間を設けて「魅せる収蔵庫」として運用する。美術館や博物館にとっては展示室以上に重要ともいえる収蔵庫に一般の人を入れるというのは思い切った試みだ。
2024年9月25日に行われた竣工記念式典にて。前列左から4人目に日比野克彦・東京芸術大学学長、その右隣に中村修・取手市長、前列右端にヨコミゾマコト氏が並ぶ(写真:東京芸術大学)
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設計を手掛けたのはaat+ヨコミゾマコト建築設計事務所(東京・新宿)。ヨコミゾマコト氏は同大学美術学部建築科の教授を務めている。ヨコミゾ氏は、「どのような収蔵庫にすべきか、東京芸術大学の日比野克彦学長たちとディスカッションを重ねた。そして、閉ざされた空間にするのではなく、限定的ではあるけれど、例えば地域の小学校が美術の授業を行えるような、表も裏もない収蔵庫を目指してみようと計画が進んだ」と振り返る。
取手キャンパスは茨城県取手市にある。JR取手駅からバスで約15分の距離だ。収蔵棟が立つのはキャンパス入り口近くの小高い丘になっている場所で、既存の大学美術館取手館に隣接し、新設した渡り廊下でつないでいる。
既存の取手館から延びる渡り廊下(写真:日経クロステック)
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東京芸術大学取手キャンパスの全体配置図(出所:aat+ヨコミゾマコト建築設計事務所)
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大学美術館取手館は、上野キャンパスの収蔵庫不足を解消することを最大の目的に、芸術資料館(大学美術館の前身)の分館として1994年に建てられた。設計したのは建築家で同大学の教授だった六角鬼丈氏(1941~2019年)だ。
六角氏は、収蔵庫であっても1階に多目的ホールを設けてイベントなどを開催できるようにしたほか、「芸大らしい建築の在り方」を模索するために「ウォール・ミュージアム」構想を提唱。建物の各所が当時の教官たちの自由な創作活動の場となり、様々な作品が設置されている。
取手館1階の多目的ホール(写真:日経クロステック)
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それから30年がたち、再び収蔵スペースの不足を解消するために、今回新しく収蔵棟を建てることになった。取材時に建物を案内してくれた東京芸術大学大学美術館特任准教授の大内伸輔氏は「上野キャンパスと合わせて大学全体で約3万点の収蔵品があり、うち約1万点は学外に借りた倉庫に保管している。収蔵するのは主に学生制作品で、買い上げ作品や自画像など毎年130点ほどが新たに加わる」と話す。
同大学には卒業及び修了制作の中から各科で特に優秀な作品を選定し、大学が買い上げる制度がある。さらに、絵画科などでは自画像の制作が昔から必修で、それらも大学が買い上げて明治時代からの自画像を保管している。こうした同大学ならではの作品を継続して保存・収集するためにも新しい収蔵棟が必要だった。
増築を想定していた既存棟
30年前に取手館が出来た時、将来増築するであろうことは既に計画されていたという。取手館の南側2階の壁にはもともと鉄扉が付いていた。鉄扉といっても鉄板が張ってあるだけで、屋内側はプラスターボードで隠してあったため、その存在に気付くのは建築関係者くらいだろう。
その扉を開けて壁を抜けばブリッジでつなげられると分かったので、ヨコミゾ氏は取手館に増築する形で収蔵棟を設計した。新しい収蔵棟は既存の取手館から15度振って配置。敷地の傍らを流れる利根川の自然堤防のカーブに沿って建物を並べたという。
取手収蔵棟の配置図・屋根伏せ図。北側に立つ既存の取手館から15度振って、南の増築棟を配置した(出所:aat+ヨコミゾマコト建築設計事務所)
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収蔵棟から取手館を見る(写真:長井 美暁