松山城土砂災害の応急復旧完了、道路整備が崩壊に影響の可能性

安藤 剛

 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

松山城土砂災害の応急復旧完了、道路整備が崩壊に影響の可能性 | 日経クロステック(xTECH)

 

 

 

松山城が立つ勝山の斜面が崩壊した2024年7月の土砂災害に対し、松山市は愛媛県と共に仮設資材で対策を施す応急復旧工事を24年10月23日に完了した。復旧と並行して土砂災害の原因を究明する技術検討委員会の議論も進められ、山頂付近に整備した道路が影響を与えた可能性があることを確認した。

 

松山市が崩壊した斜面の下部に鋼管柱を並べて実施した待ち受け対策工事。下図中の(4)がおおよその施工場所だ(写真:松山市)

松山市が崩壊した斜面の下部に鋼管柱を並べて実施した待ち受け対策工事。下図中の(4)がおおよその施工場所だ(写真:松山市)

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 この災害では流下した土砂によって麓の住宅が倒壊し、3人の住民が死亡した。市はその後被災住宅周辺の住民を対象に、降雨時の避難指示の発令基準を他の地区よりも2段階下げて、降雨が大雨注意報(レベル2相当)の発表基準に達した場合としていた。

 応急復旧工事が完了した24年10月23日以降は1段階上げ、大雨警報(レベル3相当)の発表基準に達した場合に避難指示を出す。市内のその他の地区では土砂災害警戒情報(レベル4相当)の発表基準としている。

 

■松山城の土砂災害と応急復旧工事の概要

■松山城の土砂災害と応急復旧工事の概要

応急復旧工事のおおよその施工場所を(1)~(5)で示した(出所:松山市の資料に日経クロステックが加筆)

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愛媛県が図中の(5)の辺りである勝山の裾に設置した大型土のう(写真:松山市)

愛媛県が図中の(5)の辺りである勝山の裾に設置した大型土のう(写真:松山市)

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 市は応急復旧工事を、崩壊した斜面の下部に鋼管柱を34本立てる待ち受け対策工事で終えた。その下部の山裾には県が大型土のうを設置した。

 

図中の(1)の辺りである斜面上部に侵食防止のため保護シート(写真手前の白っぽい部分)を設置(写真:松山市)

図中の(1)の辺りである斜面上部に侵食防止のため保護シート(写真手前の白っぽい部分)を設置(写真:松山市)

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斜面上部で石垣に沿って仮排水路を設置し、表面排水処理工事を実施。図中の(2)の辺りだ(写真:松山市)

斜面上部で石垣に沿って仮排水路を設置し、表面排水処理工事を実施。図中の(2)の辺りだ(写真:松山市)

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 市は斜面上部には24年8月までに、斜面の侵食を防ぐ保護シートを設置するとともに、表面排水処理工事として城の石垣に沿って排水路を仮設した。

 

図中の(3)の辺りである斜面の中腹にも仮排水施設を設置。白っぽい部分は侵食防止対策で設置したコンクリートと布地の複合材料だ(写真:松山市)

図中の(3)の辺りである斜面の中腹にも仮排水施設を設置。白っぽい部分は侵食防止対策で設置したコンクリートと布地の複合材料だ(写真:松山市)

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 斜面中腹でも24年9月、仮排水施設設置工事を実施。コンクリートと布地の複合材料による侵食防止対策も講じた