老朽化進む公立校を大胆刷新、標準設計から脱して在り方探る
奥山 晃平
日経クロステック/日経アーキテクチュア
木下 順平
日経クロステック/日経アーキテクチュア
老朽化進む公立校を大胆刷新、標準設計から脱して在り方探る | 日経クロステック(xTECH)
1970年代前後に大量に建設された公立学校が老朽化し、建て替えや統廃合が進む。文部科学省が示した方向性を基に、「標準設計」を脱して新たな学校の在り方を模索する意欲的な自治体が増えてきた。
2028年度の開校を目指す広尾中学校は、スタジアムのような開放的な校舎のデザインが特徴だ。建物中央に大きな吹き抜け広場として、ラーニングコモンズ(LC)を確保。子どもたちがタブレットや本で情報収集しながら主体的に学べる共有空間とした。ラーニングコモンズに隣接するように配置する渋谷図書館は、地域住民と交流する拠点となる──。
東京都渋谷区は、区立小中学校全26校のうち広尾中学校を含む22校を、22年から20年かけて建て替える。渋谷区教育委員会が22年5月に公表した「渋谷区『新しい学校づくり』整備方針」の中で、建て替えのスケジュールを示した。一部の学校では、25年度から建て替え工事に着手する予定だ〔図1〕。
〔図1〕22校を20年で建て替え
(出所:渋谷区)
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(出所:渋谷区)
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基本計画段階の新校舎のイメージ。今後の検討で変更する可能性がある。基本計画の作成支援を、広尾中学校と松濤中学校は山下設計・藤本壮介建築設計事務所JV、代々木中学校は大建設計・SUPPOSE DESIGN OFFICEJVが担当した。広尾中学校と松濤中学校では2025年度、代々木中学校では26年度から建て替え工事に着手する予定だ
区立学校は1960年代から70年代前半をピークに建設された。多くが築数十年で、延べ面積で見れば全体の7割が旧耐震基準の建物だ。
そこで区教委は、2020年度に「渋谷区学校施設長寿命化計画」を策定。この計画を具体化するためにまとめたのが、22年5月に示した整備方針だった。
整備方針には「新たな学びの場」「環境への配慮」「地域コミュニティの拠点」という3つの柱を軸に、渋谷区が考える「これからの学校施設」の在り方を盛り込んだ。整備方針を基に建て替えが進む校舎は、片廊下式の画一的な建物とは、大きく異なる