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日本初のカジノ含む大阪IR実現は「ほぼ確実」、市が運営事業者に用地を引き渡し
奥山 晃平
日経クロステック/日経アーキテクチュア
2030年秋ごろの開業を目指す、カジノを含めた統合型リゾート施設(IR)を巡り、大阪市は24年10月1日、IRの運営事業者に土地を引き渡したと発表した。運営事業者は、違約金なしで事業から撤退できる「解除権」を同年9月6日付けで放棄している。IRが実現するのは、ほぼ確実となった。
大阪・夢洲(ゆめしま)で開業する予定の統合型リゾート施設(IR)の完成イメージ(出所:大阪IR)
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米MGMリゾーツ・インターナショナル日本法人とオリックスなどが出資する運営事業者「大阪IR」(大阪市)は23年9月、IR開業の具体的な計画を定めた「実施協定」を大阪府と結んだ。市とは、夢洲(ゆめしま)の北側にある約49万m2の土地を35年間借り上げる「借地権設定契約」を締結している。
ただし、実施協定には解除権が盛り込まれていた。大阪IRは、初期投資額が1兆2700億円から膨らまないことや、国内外の観光需要が新型コロナウイルス禍前の水準まで回復していることなど7つの条件が全て整わなければ、26年9月まではIRの開業計画を解除できる状態だった。
その後、大阪IRは「条件が整った」と判断し、期限を待たずに自ら解除権を放棄することを決定。24年9月10日に発表した。同日、大阪府・市と確認書面を交わしている。大阪府の吉村洋文知事は同年9月11日の会見で、「30年にIRが大阪のベイエリアに誕生することがほぼ確実になった」と述べた。
IRの建設予定地では23年12月から、地盤の液状化対策工事が進んでいる。大阪IRの解除権放棄に伴い、市は24年10月1日、IRの用地として貸し出す約49万m2のうち、25年の大阪・関西万博で使用する範囲を除く約46万m2を引き渡した。IR施設は30年夏ごろの竣工を予定している。
IRのイメージ。国際会議場や展示場、ホテル、レストラン、ショッピングモール、エンターテインメント施設、カジノなどで構成(出所:大阪IR