西麻布に入居費最大5億円の超高級老人ホーム。三井不動産が公開、すでに半数が契約済み
土屋咲花 [編集部]
西麻布に入居費最大5億円の超高級老人ホーム。三井不動産が公開、すでに半数が契約済み | Business Insider Japan
三井不動産レジデンシャルが手掛ける超高級老人ホーム「パークウェルステイト西麻布」。
撮影:土屋咲花
三井不動産レジデンシャルが手掛ける超高級老人ホーム「パークウェルステイト」シリーズが10月、高級住宅地の西麻布に開業する。
中には入居費用が1億円以上かかる部屋もある豪華施設だが、既に半数超の居室が契約済みだという。
同社が7月29日、報道陣向けの内覧会を開いてそのサービスや内装を公開した。
入居費用1億円超でも…開業前に半数成約
「問い合わせは4000件超、既に約半数の180件超が契約済みです」
三井不動産レジデンシャル、シニアレジデンス事業部開発室の米本厚氏は施設の状況について、こう話した。
パークウェルステイト西麻布は地下1階、地上36階建ての大規模な高齢者住宅。一般居室340室、入居後に介護が必要になった際の利用を想定した介護居室60室を備える「超高級老人ホーム」だ。
ターゲットは、年を重ねても自立して生活するアクティブシニア層という。
三井不動産レジデンシャルの嘉村徹社長は
「高齢者人口は増加しており、 2050年には平均寿命が男性84歳、女性は90.4歳まで伸びることも見込まれている。(80歳前半時点でも)4人に3人の方は自立した暮らしをされているとのこと。当然、シニアの住まいに対するニーズも変化しており、 こうしたニーズに応えるべく開発された」
と説明する。
パークウェルステイト西麻布の入居費用は入居時の年齢や部屋のタイプによるが、専有面積約49平方メートル、1LDK、WIC(ウォークインクローゼット)付きの物件に75歳で1人入居する場合は、入居一時金が1億5030万円。82歳で入居する場合も1億20万円と1億円を超える。また、別途、共益費・サービス料などで(1人入居する場合)毎月24万5660円がかかる。
配偶者や親族同士など、2人での入居も可能だ。専有面積約130平方メートル、2LDKでWICが二つ、SIC(シューズインクローゼット)、さらに納戸が二つある広い居室に2人で入居する場合は、入居時一時金は5億4096万円だ。
なお、公式サイト上にある最も価格の安い居室でも、約42平方メートル、1LDK。入居一時金は75歳入居の場合7398万円(82歳入居なら4932万円)。月額利用料金は1人入居で23万5460円だった。
既に半数超が契約済みで、契約者は資産家や経営者、上場企業の役員といった富裕層という。
その豪華すぎる内装を見ていこう。
ホテルのロビーのようなエントランス
高い天井と、窓から見える景色が特徴のロビーラウンジ。しだれ桜やモミジを植栽していて、四季のうつろいが楽しめるという。
撮影:土屋咲花
1800冊以上を備えるライブラリー。ブックコンシェルジュが週に1度来館し、定期的に入れ替えるという。
撮影:土屋咲花
エントランスを入ってすぐのロビーラウンジは、開放感のある高さ約5メートルの天井が特徴。共用部には他のパークウェルステイトシリーズでも人気のライブラリーを備える。
「歩くだけで健康になる」プール
水中ウォーキングや水流マッサージを楽しめるプール。水温は33~36度と温かめだ。
撮影:土屋咲花
スポーツやリラクゼーションを楽しむ「ウェルネスフロア」は、医科学的根拠に基づき設計されたプールや大浴場、サウナのほか、フィットネスマシンや運動プログラムを開催するスタジオなどがそろう。
都内を一望しながら帝国ホテルの食事が楽しめる
最上階のダイニングフロア。エリアごとに雰囲気を変え、気分によって使い分けられるようにした。
撮影:土屋咲花
ダイニングフロアからの景色。方角によっては、天気が良ければ富士山も望めるという。
撮影:土屋咲花
帝国ホテルが提供する食事の一例。
撮影:土屋咲花
今回の物件で初めて取り入れられたサービスの一つが、名門ホテルの帝国ホテルが調理とサービスを提供するダイニングだ。食事は別料金で、朝食648円、昼食1320円、夕食1980円で楽しめる。
予約制のプライベートダイニングでは、家族や友人を招いてフルコースを振る舞うことも可能だ。ダイニングは35階と36階の最高層フロアにあり、東京の街を一望できる。
1階の中庭に面したカフェスペース「ティーパビリオン」では、毎朝焼きたてのパンを提供するという。
鍵はなし、顔認証で入室
共有部や居室の入退室は顔認証で記録する。
撮影:土屋咲花
介護居室。一般居室と行き来して利用する想定で60室を備えている。
撮影:土屋咲花
100平方メートル超の広さを備えたプレミアムフロア。高層階に位置するため、展望も楽しめる。
撮影:土屋咲花
居室も見て行こう。
一般居室は1LDKと2LDKから選べる。一部のプレミアムフロアでは100平方メートル以上の広い居室も用意した。
パークウェルステイト西麻布は今回初めて、居室と共用部に顔認証システムを導入した。鍵の紛失や置き忘れなどがなくなることに加えて、入居者の安否確認の面でも機能する。
部屋や共用部の出入りに顔認証を行うことで、大浴場や更衣室など特定の場所から長時間移動していない場合にすぐに安否確認に向かえるという。
レジデンスには介護・看護スタッフが24時間常駐するほか、クリニックを併設して医療体制を整えた。
他の高齢者住宅との大きな違いは、介護居室が同じ建物内にあることだ。入居時に自立していた入居者がその後介護が必要になった場合は、それまで居住していた一般居室と低層階にある介護居室の双方を行き来しながら生活できる。
後発でも相次いで6件開業
パークウェルステイト西麻布は、三井不動産グループが展開する高齢者住宅シリーズで初の都市部物件だ。2024年は西麻布の他に同規模の施設を幕張(9月)、湘南藤沢(10月)と相次いで開業する。
三井不動産レジデンシャルは2019年、「パークウェルステイト」ブランドの1号物件を浜田山(東京都杉並区)に開業し高齢者住宅事業に参入した。パークウェルステイト西麻布を含む3物件が開業すると、全6施設となる。
高齢者住宅事業への参入は他社と比べて後発と言えるが、6物件のいずれも、入居率・契約済み物件率は約5割~6割と「想定を上回るペース」(シニアレジデンス事業部・米本氏)で好調に推移しているという