広島市で道路陥没し建物傾く、地下30mで清水建設JVがシールド工事
夏目 貴之
日経クロステック/日経コンストラクション
広島市の市道で2024年9月26日、長さ約40m、幅約15mにわたって陥没や隆起、出水が発生した。複数の建物が傾く被害もある。市は地下30mほどで清水建設などの共同企業体(JV)が施工しているシールドトンネル工事が原因の可能性が高いとみて調査を始めた。陥没の発生直前に、シールド機の前面から異常な出水があった。9月26日午後1時時点で、19世帯の44人が一時避難した。
道路が陥没した広島市西区の現場付近。26日正午ごろ(写真:共同通信社)
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事故が起こったのは広島市西区福島町だ。市が浸水対策として地下に直径5mの雨水管を構築する「観音地区下水道築造工事」を進めていた。市の下水道局が発注し、清水建設・日本国土開発・広成建設JVが受注した。落札金額は131億6100万円(税別)で、調査基準価格を約14億円下回った。掘削延長は約3.5kmだ。
9月26日の午前8時40分ごろ、シールドトンネル工事の作業者から市に異常出水の報告があった。全作業員がトンネル内から待避した直後に陥没などが生じた。市下水道局によると、異常出水が起こったのは昼夜2班で施工する作業班が交代してすぐのタイミングで、土砂の取り込み量などの詳しい状況は分かっていない。
陥没が発生した位置(出所:国土地理院の地図に日経クロステックが加筆)
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シールド機は24年2月に福島町内の公園から発進した後、陥没が生じた市道に沿って北東に進んでいた。これまでに200mほど掘削し、事故当時は陥没した箇所の直下付近に位置していたとみられる。シールド機が掘削する範囲は玉石を含む砂れき層で、その上部には砂質土層や粘性土層、火山灰土層などが堆積している。
清水建設は9月26日、原因は調査中としつつ近隣住民や関係者へのおわび文を発表した。早期復旧に向けて対応を進めるとしている。
市は9月27日に道路の現状復旧に着手。土とセメントを混ぜた流動化処理土などで陥没箇所の埋め戻しを開始した
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