グッチ バンブー 1947」が出会う日本の伝統工芸と現代アート。グッチ銀座 ギャラリーの日本上陸60周年記念展へ
艶(つや)のある上質なレザーに、カーブさせた竹のハンドルを組み合わせた「グッチ バンブー 1947」は、他にはない素材使いとクラシカルな面持ちで、長年愛用されている「グッチ」が誇る、不朽の名作だ。そんなバッグにフォーカスした、グッチ銀座で開催中の「Bamboo 1947: Then and Now バンブーが出会う日本の工芸と現代アート」展へ。
「グッチ バンブー 1947」は、ブランド創設者グッチオ・グッチの革新的な発想と職人たちの卓越したクラフツマンシップにより1947年に誕生。本展は、グッチの日本上陸60周年を祝したエキシビションとして、グッチ銀座 ギャラリーの2フロアを使って開催している。
トム・フォード、フリーダ・ジャンニーニら歴代デザイナーたちが生んだ約400点のアーカイブ
グッチ銀座 ギャラリー6階では、本展のプロローグとして、1960年代初頭のアーカイブから現在のクリエイティブ・ ディレクター サバト・デ・サルノによる新作まで約400点の「グッチ バンブー 1947」を包括的に紹介する。
トム・フォード、フリーダ・ジャンニーニ、アレッサンドロ・ミケーレといった過去のクリエイティブ・ディレクターたちが生み出した貴重なアイテムなども並び、過去のクリエーションを織り交ぜ、「グッチ バンブー 1947」の歴史をさまざまな角度から目の当たりにできる仕掛けも。
壁面がミラーになった空間に過去のバッグを並べた部屋や、実際にグッチのアトリエで働く職人が解説する動画を見ながら、クラフツマンシップを体感できるスペースなど、膨大な点数を感じさせないほどに、視覚的にも楽しめる空間となっている。
7人の日本人が再解釈するヴィンテージ

メイン会場となる7階にあがると、クリエイティブ・ディレクターのサバト・デ・サルノがセレクトした7名の日本の伝統工芸作家とコンテンポラリーアーティストが、 ヴィンテージの「グッチ バンブー 1947」ハンドバッグを唯一無二のアートピースへと昇華させた作品が広がる。
人間国宝で彫金家の桂盛仁をはじめ、塗師の渡慶次愛、写真家の森山大道、画家の横山奈美と、ジャンルも世代もさまざまな人選。ヴィンテージバッグを解体したり、プリント、塗装などで、再解釈を試みており、それぞれの個性が際立つ作品60点がならんでいる。
陶芸家が生んだ青竹のバンブー
陶芸家の中里博恒は、磁器製のハンドルとクロージャーを取り付けたバッグを製作。「窯の温度や土の焼き具合によって、いくら計算しても思うようにいかない。何度もトライ&エラーを繰り返した」と同氏。サイズのあうパーツが焼き上がったとしても、削っている最中に、ハンドル自体が折れることが何度もあったという。竹の節の位置、数にもこだわり仕上げたバッグは、道具としての機能性や機能美はそのままに、整然としたたたずまいも魅力だ。
なかでも深いグリーンのレザーに青竹を彷彿(ほうふつ)とさせるハンドルとクロージャーを取り付けたバッグはフレッシュな印象で、「グッチ バンブー 1947」の世界観の広がりを感じさせる。
会場に展示されている作品は全て購入が可能で、価格は300万円台~1,500万円台(税別)。すでに、初日に買い手がついたバッグもあり、後世に残る希少なコレクションとなりそうだ。展示は9月23日(月・休)まで。いずれも一見の価値があり、ぜひ足を運んでみてほしい。
text: Mio Koumura