結婚前なら、アイスランドに住んでました!
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デートに誘うのは、高い費用を払って配管工を雇うようなもの」
コーヒーの前にセックス
─英国人記者も仰天
「アイスランドの恋愛事情」
ガーディアン(英国)
Text by Zoe Williams
体の相性を確かめてから、真剣な交際にいたるというのはヨーロッパにおいて珍しい話ではない。
だが、セックスが大きな意味を持たないアイスランドでは、
体の関係が続いても、いつまで経っても「デート」に進展することはなく、
ましてや真剣な付き合いまでもっていくのは、
相当ややこしいようだ。
英紙記者が、アイスランドの奇妙な恋愛事情を現地で徹底取材した。
「コーヒーの前にセックス」は、北欧諸国の恋愛習慣を表す常套句として多用される表現だが、その意味は国によって若干異なる。
スウェーデンでは、
効率的なデートスタイルのかなり単刀直入な簡略表現だが、
そのものずばりの意味で使われているのは、アイスランドだけだ。
どんな展開になったとしても(日を改めてコーヒーを飲みに行く、もっとセックスに励む、同棲を始める、あるいは何もなかったことにする)、考えられる限りのロマンスの順序は「デート」ではなく、「セックス」から始まる。
何の前置きもなくそれに合意するとはどういうことか、と不思議がるだろうが、アイスランドの人口は40万人弱で、ロンドン最大の行政区のひとつよりやや多いくらいなのをお忘れなく。
グラフィックデザイナーのヴェルンドゥル(26)が言うには、
「アイスランドのデート文化には、相手を探しに行かないという特徴がある」。
なぜなら「すでに知り合いだから」だ。
また、アイスランド人にとってデートは交際関係を持つ場ではない。
大工のシッギ(31)は、初めて関係を持ったときのことをこう振り返る。
「典型的なアイスランド流だったよ。パブで出会い、2人とも酔っ払って、そのままセックス。素敵な一夜だったな」
だが、彼らをコミットメント恐怖症だと勘違いしてはならない。
長い道のりが一足飛びに進む場合もあるのだ。
「あっさり同棲することもアイスランドではよくあります」
とウクライナ出身のイリナ・ズベンコ(30)は話す。
「誰かのベッドの上で目覚めて、このまま一緒に住むと決めるんです」
それでもデートに連れ出すという選択肢はない。シッギはポーランド人のガールフレンドと真剣交際中で、2人でアパートを購入するところだという。
「この国で誰かをデートに誘うのは、破産するのと同じ。だから、『自分にはこの人しかいない』と確信しなければならない」
またイリナによれば、
「異なるパートナーとのあいだに何人も子供がいる」のも普通だという。
「ときには出会って、またやって、飲みに誘われ、インスタグラムに友達追加されてはじめて、『あら、1歳の赤ちゃんがいるのね』みたいなこともあります」
そこへイリナの同僚のバルドゥル・ソールハルスソンが割って入った。
「アイスランドでは、子供ができるのはいつでもハッピーなこと。
シングルでも交際中でも関係ない。
子供ができたからといってキャリアが終わるわけでも、
ましてやキャリアの妨げになることもない
セックスに寛容な文化
セックスに関していえば、「この国では誰も、結婚する相手としかできない神聖な行為とみなしてない」とアストロスは言う。
アイスランドの性事情は昔もいまも突出している。
アイスランド人の初交年齢は15.7歳と若く(世界平均は17.7歳)、
パートナーの数も12.4人と多い(世界平均は10.5人)。
そして71%がワンナイトラブの経験があると回答している
(アイスランドを上回ったのはベトナムだけで、75%)。
数字はすべて、コンドームブランドの「デュレックス」が
2000年代初頭に実施したセックスに関する国際比較調査のものだ。
アイスランドは2010年代初頭に調査対象から外れた。
おそらくどの部門も制覇していたためだろうが、
「レイキャヴィクの握手」と親しげに呼ばれている
クラミジア感染症の罹患率だけは引き続き調査されている。
それによると、クラミジア感染率は北欧諸国全体で天文学的数字に達し、
とりわけアイスランドの感染件数は、
21世紀以降のほとんどの期間でトップだった
(ただし、2018年以降の感染件数はデンマークが上回っている)。
かくもセックスに寛容な文化には、
アイスランドならではの男女平等が際立っている。
アストロスは、
「この国では街中を歩いていても、冷やかしの声を掛けられたりしません」と語る
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