再燃する「五輪卓球排除論」…“元中国人”が跋扈、不正野放し、金メダル独占の異常事態
【パリ五輪】卓球女子団体
日本時間9日未明に行われたメダルを懸けた準決勝で、世界ランキング2位の日本が同3位のドイツを3-1で撃破。4大会連続のメダルが確定した。
【 顔 を 見 る 】梅干しのように顔を歪めて悔しさを滲ませる伊藤美誠を見る
シングルス戦で左手首を故障したエースの早田ひな(24)はこの日も第1試合のダブルス戦に起用され、鋭い「チキータ」を放つなど順調に回復しているのは明るい材料だが、いくらメディアが「難敵ドイツを下して銀メダル以上が確定!」と騒いでも、決勝の相手はあの中国である。 頂上決戦は日本時間8月10日(22時)に行われ、男子決勝の中国対スウェーデン戦は9日22時開始だが、すでに中国の「全5種目制覇」は決まっているといっても過言ではないだろう。 今大会の中国は、孫穎莎とのペアで混合ダブルス(複)を制した男子の世界ランク1位の王楚欽が、報道カメラマンにラケットを折られるアクシデントで翌日のシングルス(単)戦でまさかの敗退となったが、代わりに中国の樊振東がV。「指定席」だった男女単の金、銀こそ消えたものの、混合複、男女団体を含めて5つの金を中国が独占することは分かり切っていたことだ。 今更だが、1988年ソウル大会から採用された五輪卓球における中国の強さはハンパではない。 男子単は今大会で5連覇。08年北京大会から始まった団体も前回の東京大会まで4連覇で男女とも5連覇は固い。女子単も今回でV10を達成した。 北京大会で男子単の3つのメダルを独占、女子単もソウル大会に続いて3つのメダルを獲得すると、国際卓球連盟がこれを問題視。中国の表彰台〝占拠〟を防ぐため、12年ロンドン大会から各国の単枠を2人に減らしたほどだ。それ以後、他国は「おこぼれ」の銅メダルでも大喜びしているのが現状である。 だからだろう。前回の東京大会から採用された混合ダブルスで水谷隼・伊藤美誠ペアが中国を破って金メダルを手にした際、中国国内では「金独占の批判をかわすため、開催国の日本に花を持たせたんだ」という声もあったという
「真面目に規則を守っているのがバカバカしいのが現実」
こんな歪な実態から、「卓球は五輪から除外される」という話は繰り返し出てくるし、
実際、国際オリンピック委員会(IOC)も除外競技としてリストアップしたこともあると言われている。
歪といえば、多くの国で五輪代表に「元中国人」がいることも異常だ。
今大会は61歳のルクセンブルク女子代表倪夏蓮が話題になったが、
彼女は元中国代表。
この日、日本が対戦したドイツやフランスにも中国出身者がいるし、
シンガポールや台湾のメダリストにも中国から帰化した者がみられる。
16年リオ大会の卓球では、
全172人の選手中、
中国代表を除く38人が中国生まれ。
米国代表は男女6人のうち5人が「元中国人」だった。
卓球王国の中国で代表入りすることは至難の業だ。
代表漏れした選手や、ピークを過ぎた元トップ選手が他国で帰化し、代表になるケースが多いのだ。
元実業団の関係者が言う。
「元中国人ばかりの実態もIOCが懸念しているという話は聞いたことがありますが、卓球にはもうひとつ大きな問題がある。かつて水谷(隼)が問題提起して、国際大会の出場をボイコットした不正ラバーの件です。選手はラケットを手にしてからオイル成分の補助剤をスポンジ面に塗るなどの後加工は禁じられていますが、事前にメーカーが手を加えて選手に渡すことは野放しにされている。
補助剤をラバーに塗ると、回転やスピード、コントール性能が増すのです。不正が嫌いな日本選手は規則を守っていたが、中国はもちろん、他国の選手は国際大会でも不正ラバーで戦っていた。でも、卓球界にはドーピングのような不正ラバーに関しての厳しい検査や罰則はない。
国際連盟は違反を見つけるために努力はしているそうだが、実際には不正ラバーの使用を知りながら何の措置も講じていない。水谷の抵抗はこれっぽちも効果はなかった」 関係者は続ける。
「真面目に規則を守っているのがバカバカしいのが現実です。今では日本も補助剤で加工したラバーを使っている選手もいますが、国際連盟は不正ラバーを完全に禁止にするか、逆に解禁するのか、はっきりさせるべきです。不正に関することはスッキリさせないとIOCからの印象も悪くなりますよ」
中国の異常な強さだけでなく、諸々の問題を抱える卓球界。再び「五輪除外」の声が大きくなるのではないか
再燃する「五輪卓球排除論」…“元中国人”が跋扈、不正野放し、金メダル独占の異常事態(日刊ゲンダイDIGITAL)