坂茂さん、
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坂茂氏の仮設住宅はCLTならぬ「DLT」で、能登瓦回収で景観保全も支援
中東 壮史
日経クロステック/日経アーキテクチュア
石川県によると、2024年1月の能登半島地震で全半壊した県内の住宅は約2万4800棟に上る。輪島市に次いで被害の大きかった珠洲市に、建築家の坂茂氏が設計した木造2階建ての仮設集合住宅4棟が完成した。仮設利用の後は災害公営住宅(復興住宅)への転用を予定している。坂氏は24年7月20日にメディア向けの内覧会を開いた。
石川県珠洲市に完成した、木造2階建て仮設集合住宅の外観(写真:日経クロステック)
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石川県は24年7月末時点で仮設住宅の必要戸数を6804戸と見込んでいる。建設中の仮設住宅はプレハブ型とふるさと回帰型、まちづくり型の3タイプ。このうちプレハブ型は原則2年間で撤去するが、残り2つは仮設利用後も継続して住み続けられる。坂氏が設計した住宅はまちづくり型に当たる。
敷地は、能登半島地震で崩落が進んだ珠洲市の景勝地「見附島」のほど近く。計9棟(135世帯)の仮設住宅と集会所1棟を建てる計画で、全て坂茂建築設計(東京・世田谷)が設計を担当する。施工は県内の住宅メーカー8社で構成する石川県建団連(金沢市)が手掛ける。24年6月末に先行して完成した2棟では、既に被災者が入居を始めている。
4棟の細長い建物のうち、右の2棟は2024年6月末に完成した第1期の仮設住宅で、左の2棟が7月に完成した第2期。写真右上には、能登半島地震で倒壊した住宅が写る(写真:坂茂建築設計)
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構造材には、CLT(直交集成板)ならぬ「DLT(木ダボ接合積層材)」パネルを採用した。穴を開けた複数の製材を木ダボで固定してつくる積層材で、製材やプレカットなどを手掛ける長谷川萬治商店(東京・江東)が開発した。接着剤やくぎを使わないため大規模な製造設備が不要で、中小規模の製材所や工務店でも製作できる。
DLT(木ダボ接合積層材)パネルの仕組みを説明する坂茂氏。坂氏が指し示す先に木ダボが見える(写真:日経クロステック)
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珠洲市に完成した仮設住宅は、DLTパネルでつくった箱状のユニットを千鳥状に積層して建設した。内装はDLTパネルの現(あらわ)し仕上げで、住人が木のぬくもりを感じられるようにした。
建て方の様子(写真:坂茂建築設計)
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坂氏は、「建設コストはプレハブの仮設住宅と同等だ。工期は約3カ月かかるが、県産材のスギを使って快適性を高めた、恒久的に住める住宅だ」と説明する。間取りは、県の仮設住宅の基準に沿った6坪のワンルームと9坪の1LDK、12坪の3LDKの3タイプだ。これらを住棟内で混在させるよう配置し、バリアフリーに配慮した住戸も設けた。坂氏は同様の住宅31世帯分を輪島市にも建設する予定だ。
内装は、構造材のDLTパネルを現しにした(写真:日経クロステック)
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給排水の配管などは床下に、電気の配線は天井だけでなく巾木や扉の枠内などに納めた(写真:日経クロステック
坂茂氏の仮設住宅はCLTならぬ「DLT」で、能登瓦回収で景観保全も支援 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)