紀伊半島南端「すさみ串本道路」開通延期、硬い岩とひび割れが阻む
佐藤 斗夢
日経クロステック/日経コンストラクション
紀伊半島南端「すさみ串本道路」開通延期、硬い岩とひび割れが阻む | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
国土交通省紀南河川国道事務所は2025年春の開通に向けて建設を進めていた国道42号の自動車専用道路「すさみ串本道路」の工事現場で大量の硬質岩や地盤のひび割れが見つかり、対策が必要なため開通時期を延期すると発表した。国交省近畿地方整備局や和歌山県など関係機関による会議を24年7月19日に開いて決めた。現在工程を見直しており、開通時期は未定だ。
工事現場から排出した硬質岩(写真:国土交通省紀南河川国道事務所)
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すさみ串本道路は和歌山県すさみ町と同県串本町を結ぶ延長19.2kmの道路で、紀伊半島の最南端に位置する。計画通りの開通を阻んだのは、安指川(あざしがわ)橋(仮称)と小河瀬谷川(おがわせだにがわ)橋(仮称)の施工時に見舞われた想定外の地盤トラブルだ。
2024年3月の安指川橋の工事現場(写真:国土交通省紀南河川国道事務所)
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このうち、安指川橋では24年4月、P1橋脚基礎の場所打ち杭(くい)の施工時に大量の硬質岩が見つかった。大林組が杭を構築する穴を掘削するオールケーシング工法の施工中に、時間が異常にかかり硬質岩の出現に気付いた。
同工法では、掘削機を用いて、先端にビット(刃先)が付いたケーシング(鋼管)を回転させながら地盤をくりぬいていく。続いて、その鋼管内部にクローラークレーンで吊(つ)り上げたハンマーグラブを自由落下させ土砂を掘削して排出。この作業を繰り返しながらたて穴をつくり、鉄筋かごを挿入しコンクリートを打設して杭を構築する。
オールケーシング工法による施工の様子。真ん中に、掘削機とケーシングが配置されている(写真:国土交通省紀南河川国道事務所)
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設計前にはボーリング調査を実施していたにもかかわらず、支持層よりも浅い地表から9m前後にあった硬質岩を把握できなかった。ボーリングは調査範囲が限られるので、試料の中に硬質岩が含まれていなかった可能性がある。
対策では、大型の掘削機を導入して、地中にケーシングを押し込みやすくしている