トクリュウ摘発は824人 警察庁が初集計 2024年4~6月
中央合同庁舎第2号館に掲げられる警察庁・国家公安委員会の看板=東京都千代田区で2022年8月25日午後2時38分、北山夏帆撮影
緩やかに結びつき犯罪ごとに実行役を変える「匿名・流動型犯罪グループ(匿流、トクリュウ)」によるものとみられる事件について、全国の警察が今年4~6月に摘発したのは824人だった。警察庁が26日、発表した。
詐欺や強盗など「主な資金獲得犯罪」に限った集計。警察庁が匿流に関する摘発者数を公表したのは初めて。 罪種別は、詐欺452人▽窃盗163人▽麻薬取締法違反などの薬物事犯138人▽強盗54人▽風営法違反17人――だった。 SNS(ネット交流サービス)や求人サイトでメンバーを集めるのが匿流の特徴。SNSの募集に応じ、犯罪の実行役として摘発されたのは全体の3割の254人だった。 匿流は役割を細分化し、メンバーの連絡手段は秘匿性の高い通信アプリが多いという。そのため、指示を出す主導役の摘発は難しい。今回も摘発されたのは、特殊詐欺で被害者から現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」や現金を引き出す「出し子」らグループの末端が多かった。 824人とは別に、犯罪収益の振込先となる金融機関の口座の譲渡や資金洗浄などに関わり摘発されたのは少なくとも645人だった。 この罪種別は、口座の譲渡など犯罪収益移転防止法違反が518人▽犯罪収益の隠匿など組織犯罪処罰法違反が38人▽賭博35人▽恐喝26人▽迷惑防止条例違反16人▽入管法違反12人――だった。【山崎征克
トクリュウ摘発は824人 警察庁が初集計 2024年4~6月(毎日新聞)
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匿名・流動型犯罪グループ、3カ月で1531人摘発 「重大な脅威」
警察庁は26日、SNSなどを使って犯罪の実行役を集め、離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」の摘発状況を初めてまとめ、公表した。資金獲得に関する犯罪で2024年4~6月に全国で1531人を摘発。このうち実行役を募る「闇バイト」に応募したのは604人で4割にあたった。
【写真】2024年版の警察白書では「匿名・流動型犯罪グループ」を特集している=2024年7月24日午後1時36分、東京都千代田区、板倉大地撮影
警察庁は都道府県警に対して、悪質な犯罪を組織的、継続的に行う恐れのあるグループについて、摘発の状況を報告するよう指示。各警察の判断で匿流に区分した数を集約した。
1531人を罪種別に見ると、
口座を転売するなどの犯罪収益移転防止法違反が518人で最多。
詐欺452人、
窃盗163人、
薬物事犯138人、
強盗54人と続いた。
このほか組織的犯罪処罰法違反38人や
賭博35人、
恐喝26人などがあった。
警察庁は26日、匿流を特集した24年版の警察白書を公表。「市民社会に対する重大な脅威となっており、社会全体で取り組むべき課題だ」と指摘した。
特集では匿流の特徴として「収益を吸い上げる中核部分が匿名化されている」ことなどを挙げた。
組織の把握やメンバーの特定が容易でなく、
従来の捜査手法では資金の流れなどを解明することは困難だと指摘。
特殊詐欺やSNS型投資詐欺、違法なスカウト行為や薬物の密売といった資金の獲得活動の実態を紹介している。
匿流をめぐっては、22~23年に起きた一連の広域強盗事件で、
警視庁などが「ルフィ」などと名乗るグループの幹部らを逮捕。
24年4月には、全国の警察で部門間の縦割りをなくした専従体制を整備した。
白書では、
グループが犯罪の手口や連絡手段を変えながら取り締まりを逃れようとしていると指摘。
「総力を挙げてグループに対する実態解明や取り締まりを強力に推進していく」とした。
白書はトピックスの一つに、今年1月に発生した能登半島地震での活動を取り上げた。
全国から広域緊急援助隊など延べ約11万4千人が派遣され、被災者114人が救助された。
防犯のため、避難所などには防犯カメラを1006台設置。警察庁のSNSで救助やパトロールの様子を紹介するなどした。
白書は26日から、警察庁のウェブサイトでPDF版を無料でダウンロードできる。
(板倉大地)
朝日新聞