豪ドル/円」が約17年ぶりの高値を記録…2008年の〈豪ドル・バブル〉崩壊は、再び繰り返されるのか【金融のプロが考察】
2007年107円で頭打ち、2008年は一転大暴落=豪ドル/円
2007年以来、
約17年ぶりの高値に上昇してきた「豪ドル/円」。
2007年は、
その後上昇が一巡すると、
翌年に入り一転大暴落し、
「豪ドル・バブル崩壊」の様相となりましたが、
今回はどうなるのでしょうか?
マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が、
当時のマーケットの動きと比較しながら考察します
「豪ドル/円」が約17年ぶりの高値を記録…2008年の〈豪ドル・バブル〉崩壊は、再び繰り返されるのか【金融のプロが考察】(THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン))
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地価上昇率6年連続日本一の秘密は何か。
新世界「ニセコ金融資本帝国」に観光消滅の苦境から脱するヒントがある。
「客数より収益、消費より投資」が回す新しい経済を、富裕層マーケットに精通する著者が分析する。
ローコスト団体旅行によるインバウンドの隆盛はただの幻想だった。かわりにお金を生むのは、国内に世界屈指のリゾートを作ることだ。平等主義に身も心もとらわれた日本人は、世界のおカネがどこに向かっているのか、その現実にそろそろ目覚めるべきではないだろうか。
ニセコ歴20年、金融コンサルタントとして富裕層ビジネスを熟知した著者による、新しい地方創生・観光論。バブル崩壊以降、本当にリスクを取ったのは誰だったのか?
【目次】
第1章 ニセコはバブルなのか?
一棟5億円超の別荘群が出迎え
中国本土資本も進出
第2章 日本の観光投資の敗北と外資による再生
(1)東急から豪州、そしてアジアへ
(2)西武から米国、そしてアジアへ
(3)ラグジュアリーホテル続々開業
第3章 ニセコに世界の富裕層が集まる理由
(1)ホテルコンドミニアムという錬金術
(2)世界的なカネ余りがニセコを後押し
(3)なぜアジア富裕層はニセコを目指すのか
第4章 ニセコの未来
(1)世界最高級リゾートとの比較
(2)「夏も強化」は正論ながら空論
(3)富裕層向けサービスに特化する
(4)新幹線開通と五輪開催
第5章 ニセコに死角はないのか?
(1)「外資VS.住民」と「開発VS.環境」
(2)自然からの警告
(3)縦割り行政の弊害
第6章 観光地の淘汰が始まる
(1)マーケティングより人間の意思
(2)地方創生の幻想と東京
……ほか
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街並みもまるで欧州や北米の高級スキーリゾートのようだ。ショップの看板や広告は英語表記だけのものも多い。ショップの客も従業員も外国人。
冬のニセコは、日本で最も外国人率が高い街で、もはやここは日本であって日本ではない。
ひらふ十字路を中心に、スキー場のリフトに乗る地点までのひらふ坂の両側には、欧風デザインのホテルや近代的なコンドミニアムが並んでおり、その多くが外国資本による外国人相手のものだ。
混交する「日本」と「世界」
ひらふ坂を上っていくと、ニセコグラン・ヒラフスキー場のゲレンデが目の前にそびえ立つ。
同スキー場は、主に5つあるニセコのスキー場の中でも総面積135haと最大規模となり、最長滑走距離5300m、最大斜度40度、標高差940m、リフト数12、コース数24を誇る。
Photo by gettyimages
ひらふ地区は、ニセコが世界的なスキーリゾートになる前から栄えてきた場所だ。そのため、紹介してきたメインストリートであるひらふ坂を除けば、一歩入れば道は入り組んでおり、かつ狭く砂利道や行き止まりもあったりする
個人の経営するペンションや飲食店が軒を連ねるなか、外国資本による大型のコンドミニアムやホテルが建ち、混沌とした活気あるエリアでもある
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スキー天国ニセコ、「真逆の戦略」で攻める豪経営者-値上げも辞さず
松山かの子、Peter Elstrom-
欧米では米ベイル・リゾーツなどがスノーリゾート買収し設備投資
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国内のリゾート経営企業は地元利用者のニーズに対応、値上げに懸念
「こんな場所は他に存在しない」。極寒の中、世界的なスキーリゾートとして知られる北海道ニセコで、オーストラリア人のコリン・ハクウォース氏(65)は、上質のパウダースノーが降り積もったお気に入りの場所をスキー客に紹介していた。
日本ハーモニー・リゾート代表取締役で、ニセコの花園地区でリゾートを経営する同氏は、香港の資産家、李沢楷(リチャード・リー)氏の支援を受け、2020年1月に数百億円をかけたパークハイアットニセコHANAZONOのオープンに携わり、翌年、最新鋭のリフトとゴンドラを導入した。ホテルは繁忙期の今、宿泊料金が1泊約15万円であるにもかかわらず連日大盛況だ。
ニセコHANAZONOリゾート(19日・倶知安町)
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
「どれだけスキーの費用を安くできるかという姿勢は、間違ったビジネス戦略だ。投資すれば人は来る。ニセコに世界一の雪があることは誰もが知っている」。ニセコには、世界的スキーリゾートとして知られる米コロラド州ベイルやフランスのアルプス山中にあるクールシュヴェルの2倍以上の雪が降ることもある。
新型コロナウイルス感染症に関する水際対策緩和後、初のスキーシーズンを迎え、ゲレンデはシンガポールや豪州、米国、スウェーデンなどからの外国人旅行者でにぎわっている。もともと海外に比べてスキーにかかる費用が低いことに加え、円安の影響で拍車がかかっている。
絶好の機会
ハクウォース氏の試みは、国内の多くのスキーリゾート経営者とは真逆の戦略だ。1990年代にピークを迎えた日本のスキー産業は高度経済成長の波に乗って拡大し、スキーリゾートの数は800以上と世界最多に達したが、現在では約475にまで落ち込んでいる。経営者たちはバブル崩壊後、国内需要を引き留めようと老朽化した設備の使用を継続し、リフトチケット価格を低く抑えてきた。
ハクウォース氏はこうした現状について、衰退したスキー産業を多額の投資によってよみがえらせる絶好の機会だと主張する。同氏が運営する花園地区のリゾートでは、ヒーター付きの革張りシートを備えた高速リフトを導入した。一方、山の西側に位置するニセコアンヌプリ国際スキー場のゴンドラは1985年から利用されている。
コリン・ハクウォース氏
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
同スキー場を経営する北海道中央バスは、低価格をある程度維持することが地元企業としての重要な役割の一つと考えている。「海外向けだと価格は上げやすいが、近隣の人たちに利用されないと、ここにある必要がないと思っている。地元をないがしろにできない」と常務執行役員の菊井隆則氏は言う。
同社は交通事業と観光が相乗効果をもたらすと考え、70年代に同スキー場を開業。人々の生活が豊かになるにつれて国内のスキー人気も高まり、87年公開の映画「私をスキーに連れてって」に象徴されるように、スノーリゾートは多くの若者が集まる社交場になった。国内スキー人口は93年に1860万人に達した。
「スキーは単なるスポーツではなく、スマートフォンがなく、コミュニケーションの手段が限られていた時代に男女が交流する一番の手段だった」。スキー用品会社フェニックスの創業者で、現在はホテルグランフェニックス奥志賀(長野県)を経営する田島和彦氏は当時を振り返る。「ウエアは作れば売れた。人々はトレンドの最前線にいようと必死だった」。
強烈な成功体験
しかし、バブル崩壊とその後続いた経済停滞によって所得が上がらず、スキー人口はピーク時の4分の1未満に急減。リゾート数も減少し、多くが赤字経営に陥っている。
観光客でにぎわうニセコの街(17日・倶知安町)
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
日本の観光庁は国際競争力の高いスノーリゾート形成を促進しており、スキー産業への外国人観光客の誘致に大きな期待を寄せている。世界のリゾートを調査しているスキー業界専門家のローラン・バナット氏は、設備の老朽化が日本のスキー場の評判に悪影響を及ぼしていると指摘。パウダースノーを求めて世界中から訪れたスキーヤーが、80年代や90年代に建てられたリフトに乗るとがっかりすると話す。
観光庁のスノーリゾートの投資環境整備に関する検討会の座長を務めた東京女子大学現代教養学部の矢ケ崎紀子教授は、日本のスキー場は地元の人が使うスキー場と海外からの旅行者が使うスキー場の機能分化がしっかりされておらず、スノーリゾートの将来をどう描くかという経営視点が欠けていると説明する。インバウンドや国内、上級者や初心者などさまざまな層がいるのに全部を呼び込もうとしていると語る。
「日本には事業規模が小さい多くの経営者、所有者が存在する。地方の方向性を決める決定者には強烈な成功体験があり、そこから抜け出せていない。世界の企業がどうアプローチしようとしているのか、その中で選ばれるスノーリゾートになるにはどうすればいいのかというところまで考えてほしい」と述べた。
財源捻出に苦労
投資によるスキー産業の復活は欧米を中心に各国で進められてきた。米国ではベイル・リゾーツなどがスノーリゾートを買収して多額の設備投資を行い、リフト券の値上がりにつながった。米国のリゾートでは年間20台以上のリフトが建設されるが、日本では過去10年でわずか6台ほどにとどまる。
日本はスキーリゾート数は多いが欧米に比べて規模が小さい。ニセコアンヌプリ山だけでも、日本ハーモニーや北海道中央バスなど4社あり、ビジネス戦略や目標についても違った考え方を持つ。
ニセコアンヌプリ国際スキー場
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
ニセコ地区はインバウンド需要のおかげで再生することができたが、2年以上にわたる水際対策によって大きな被害も被った。ゴンドラやリフトは建設後20年以上経過したものもあり、更新するための財源を見つけるのに苦労していると北海道中央バスの菊井氏は言う。
ゴンドラを新設すれば、シベリアからの季節風が強まった際に運休する頻度を最小限に抑えられる可能性があるとは認識しているが、費用を捻出するためにはリフト券への価格転嫁が必要で、顧客の約40%を占める国内の客を遠ざけてしまう懸念が付きまとう。
「どうやって資金を調達するかというのは一番の悩みだ。地元の学校のスキー事業を継続して受けているし、本州からの修学旅行も受け入れている。そういった価格はなかなか上げづらい」。
バケットリスト
ハクウォース氏は今が変化の時だと考えている。ニセコアンヌプリに隣接するワイススキー場を15年に購入し、今後、ワイスと花園をつなぐ新しいゴンドラを建設する予定だ。ただ、これら全ての投資の財源をチケットの価格を引き上げることで補いたいと考えている。花園地区には、ホテルオークラ系列のニッコースタイルニセコHANAZONOが2024年に開業される予定。
リゾート管理で約30年の経験を持つ同氏によると、スキー業界を理解すると、ニセコのような良質で豊富なパウダースノーを手に入れることがいかに貴重であるかが分かるという。実際、この冬、欧州のリゾートでは暖冬で雪が不足し、ゲレンデの閉鎖を余儀なくされるケースが目立つ。
「リフト券は50%高くする必要がある」が、新しいリフトや施設が建設され価値が上がれば顧客は反対しないと思うとハクウォース氏は話す。
HANAZONOの新しいゴンドラ
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
夫と訪れたハワイ州ホノルル出身のサンドラ・ルーさん(49)は、毎年米国内でスキー旅行をしているが、ニセコのような降雪は見たことがなかった。「ここに来ることは私たちのバケットリスト(死ぬまでにしたいこと)に入っていた」と言う。
最新鋭のゴンドラは1時間当たり約3000人を運び、80年代のものと比べて輸送力が約5倍に上り、混雑解消や収益の増加につながる。ゴンドラやリフトの導入資金は安価なものでも計数億円、高価なものになると3500万ドル(約45億6000万円)以上だが、導入後のメリットは大きい。
積極的な投資がリターンをもたらすことは米国のベイルリゾーツが証明している。同社は1997年に上場、ブリッケンリッジ(コロラド州)、ヘブンリー(カリフォルニア州)、パークシティ(ユタ州)など北米のリゾートを相次いで買収。コストに見合う価値のある体験を提供するために設備投資をしていることをスキーヤーに強調した。
ベイルリゾーツのリフトチケットは現在1日208ドルからだが、多くの人は全米や海外でも使える859ドルの「エピックパス」というシーズンパスを購入する。一方、花園地区と隣接するヒラフ地区のリゾート共通1日券は6600円。アンヌプリ地区の1日券は5900円。「ニセコユナイテッド」と呼ばれるニセコ全山共通リフト1日券は8500円だ。
ベイルの時価総額は現在100億ドル強と、北海道中央バスの100億円強の約130倍となっている。
「とてもぜいたく」
ハクウォース氏は94年に豪州の主要なスキー場の一つであるマウントホッサムのゼネラルマネージャーに就任し、1年後にリゾートのマネジメントバイアウト(MBO)を主導した。初めてニセコを訪れたのは2003年。ちょうど同国から多くの旅行客が日本のスキー場を訪れ始めたころだった。「豊富な天然資源があるのにまだ誰もいなかった」と振り返る。翌年、東急グループから花園地区のリゾートを買収した。
ニセコ東急 グラン・ヒラフと羊蹄山
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
新型コロナのパンデミックはスキー需要を打ち砕いただけでなく、ハクウォース氏のリフト導入計画も狂わせた。19年に発注していたリフトとゴンドラは到着したが、建設を監督するフランス人のエンジニアたちが入国できなかったため、150個のコンテナに入れたまま2年間保管しなければならなかった。21年、国はハクウォース氏が厳格な検疫管理を順守することを条件にエンジニアの入国を承諾したという。
今シーズンの花園地区への来客数はコロナ前と比較して増加しており、パンデミック前のレベルを上回っている。「新しい設備と古い設備を見ると、顧客がどちらに行きたいかは明白だ」とハクウォース氏は言う。ハワイからの旅行者ルー氏は、高速リフトのヒーター付きシートについて「とてもぜいたく」と述べた。
30年度には北海道新幹線の新函館北斗ー札幌間が開業予定で、花園地区がある倶知安町に駅ができ、首都圏からのアクセスが大幅に改善する。交通網の拡充によるニセコのさらなる発展をハクウォース氏は期待している。
(2、19段落のホテルの出店主体に関する記述を訂正します)
スキー天国ニセコ、「真逆の戦略」で攻める豪経営者-値上げも辞さず - Bloomberg
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