軽量化突き詰めた鹿島のシン・型枠工法、コンクリート工事に70年ぶりの革新
小山 航
日経クロステック/日経アーキテクチュア
軽量化突き詰めた鹿島のシン・型枠工法、コンクリート工事に70年ぶりの革新 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
建設業界きっての「枯れた技術」が大きな進化を遂げた。鹿島はコンクリート構造物の施工に不可欠な型枠工事について、約70年ぶりとなる新工法「型枠一本締め工法」を開発したと2024年5月31日に発表した。型枠用合板を支える鋼製パイプを軽量なアルミパイプに変更し、使用本数を削減するなどして、施工方法の簡素化や作業時間の短縮を図った。技能者の高齢化や外国人労働者の増加を背景に誕生した、誰でも簡単に施工できるシン・型枠工法の実力を解剖する。
新工法は鹿島の他、建設資材の製造・販売を手掛ける岡部、丸久(福岡県志免町)、楠工務店(東京・杉並)が共同で開発した。24年5月31日に岡部の本社で実演を交えた説明会を開いた。実演では、20年以上の経験を持つ技能者が在来工法で施工するよりも、経験が4年ほどと浅い技能者が新工法で施工するほうが型枠を早く組み立てられることを示してみせた。
新開発の「型枠一本締め工法」を実演する様子。左が在来工法で、右が新工法。新工法のほうが速く施工できる(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
在来工法と新工法の比較(出所:鹿島)
[画像のクリックで拡大表示]
新工法は新型のアルミパイプ、パイプジョイント、パイプを締め付けるフォームタイから成る。新型アルミパイプは1m当たり1.62kgで、在来工法で使用していた1m当たり2.73kgの鋼製パイプより軽い。かまぼこ形の断面にすることで、軽量化しつつ強度を確保した。従来は鋼製パイプ2本1組が必要だったところ、新型のアルミパイプなら1本で済む。
アルミパイプ同士の接続には、パイプジョイントを用いる。かぶせてはめ込むだけなので初心者でも簡単に施工できる。
黄色いキャップが付いているのが新型のアルミパイプで、断面形状は円形ではなくかまぼこ形になっている。丸久が開発を主導した。右が従来の鋼製パイプ(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
フォームタイも新しく開発し、ロの字形にした。下のボルトに新型アルミパイプを預けられるので、組み立て時にパイプを片手で支える必要がなく、両手で安定した作業が可能だ。従来は、2本のパイプを上下に並べる必要があったため、片手でパイプを支えながら作業する必要があった。
フォームタイを取り付ける様子。左が在来工法で、鋼製パイプを片手で支えながら施工する必要があった。右が新工法で、フォームタイの下のボルトにパイプを預けられるため、両手で施工できる(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
写真左が新しく開発したフォームタイ(写真:日経クロステック