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歴代CDプレーヤー名機を聴き比べ!マランツ「SACD 30n」「CD-34」「SA-1」一斉レビュー

 2024/05/28 大橋伸太郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「SACD 30n」音質レビュー:現役フラグシップ機は「解像度、S/Nとも向上」


3機種目は現在のマランツを代表するSACD最上位機種、「SACD 30n」。内容から外装まですべて一新した21世紀のディスクプレーヤーである。

SACD 30nのディスクトレイをあけたところ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最大の注目点に自社製の新開発メカ「SACDM-3L」を搭載。SACD/CDそれぞれの専用機に匹敵する再生能力をそなえ、DVDディスクに記録したハイレゾファイルも再生する。オリジナルのディスクリートDAC「Marantz Musical Mastering」を、後段のアナログステージに看板技術のディスクリート回路「HDAM/HDAM-SA3」を採用した。

外装デザインも大きな話題となった。デザインを担当したディーアンドホールディングスの鈴木丈二氏は、「螺旋」をモチーフに「ここから音楽が発生しているというイメージと音の広がりをビジュアライズしました」と説明。

また、「ストリーミングで簡単に音楽が手に入るようになり、良い音で聴くというのはひとつの贅沢になる。その贅沢を担う部分がマランツブランドの提供する製品で、それにふさわしいたたずまいを考えました」と語っている。新世代デザインはその後の同社アンプ、プレーヤー共通の顔になる。

ブルックナー第7交響曲は、クロック、デジタルフィルターの進歩と後段のアナログ回路の高品位化で解像度、S/Nとも向上。高調波歪の抑圧の進展はあきらかで、CDの課題であり続けた弦楽合奏や金管の歪みが減ったことに感無量。

八代亜紀の声のハスキーな地肌の再現にハイレゾ時代のディスクプレーヤーの描写の冴えをみせる。サルヴァントは、ピアノの打鍵のスピードとうねるような響きの広がりに心捉われる。滾々と沸き上がるようなボーカルのクレシェンドにCD最前線とオーディオのいまがある

 

 

 

 

 

 

マランツの特徴は「伝統の上に立った革新」。オーディオファイルの信頼を裏切らない


「CD-34」、「SA-1」、「SACD 30n」。マランツのCD(SACD)3機種を聴いたが、3台の間に数十倍する数のマランツCD(SACD)プレーヤーが存在する。筆者が愛用した「CD-95」は「CD-34」と「SA-1」の中間(1988年発売)のプレーヤーだ。

ここまで聴いてきて、マランツはこれからもディスクプレーヤーを作り続けると確信した。

世界中にオーディオメーカーは数多いがマランツの他にない特徴は、伝統の上に立った革新だ。自社の培ってきたもの(技術、着想)を大切にしそれに立脚して次を創造する姿勢である。

それは、アンプやプレーヤーのアイコニックなデザインからも窺える。オーディオがフロー(現在の技術、製品)とストック(過去の所産、文化の蓄積)がバランスして成り立っている世界である以上、当然のことであり、それは世界中のオーディオファイルの明日の信頼を裏切らないことにつながる。

マランツの次なる一章に期待大である。

(提供:ディーアンドエムホールディングス

 

 

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