戸田建設が設置した洋上風車の不具合判明、コンクリート製浮体部が耐力不足

佐藤 斗夢
 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

 

 

 戸田建設が長崎県五島市の沖合に建設中の洋上風力発電施設で、設置済みの風車に「不具合が発見された」として陸揚げを進めていることについて、不具合はコンクリート構造の浮体部の耐力不足だと日経クロステックの取材で明らかになった。

設置海域まで海上運搬するため、岸壁で組み立てた浮体部を台船に積載する様子(写真:戸田建設)

設置海域まで海上運搬するため、岸壁で組み立てた浮体部を台船に積載する様子(写真:戸田建設)

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 五島市沖の風力発電施設は、風車を海に浮かべる「浮体式」だ。戸田建設が代表を務める五島フローティングウィンドファーム合同会社は2022年10月、2100kWの設備8基で構成する商業用大規模発電施設の建造に着手。しかし戸田建設によると23年5月、基礎部に当たる浮体構造の不具合が判明した。

 

 

 浮体構造には上部が鋼製、下部がプレキャストコンクリート製の「ハイブリッドスパー型」を採用した。地上ヤードで製造したリング状のコンクリートブロックを、PC鋼棒によって連結して下部を構築。上下部を結合して浮体部を完成させ、台船で設置海域まで運搬する。

 

 

ハイブリッドスパー型の風車の概要(出所:五島フローティングウィンドファーム)

ハイブリッドスパー型の風車の概要(出所:五島フローティングウィンドファーム)

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 この連結作業時に、2基のコンクリートリング部で不具合が発覚した。不具合とは耐力不足だったことが日経クロステックの取材で分かった。一部材料の品質面に問題があり「設計耐用期間を満足できないと判断」(戸田建設広報部)した。

 

 

 

実証時に、地上ヤードでコンクリートリングを結合する様子(写真:戸田建設)

実証時に、地上ヤードでコンクリートリングを結合する様子(写真:戸田建設

 

 

戸田建設が設置した洋上風車の不具合判明、コンクリート製浮体部が耐力不足 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)