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オレンジジュース販売休止連発の裏で生搾り自販機が絶好調 「流通経路、年間契約、エンタメ要素」担当者が語るヒットの理由

 
 

ピンズバNEWS編集部

 

 

ホテルの朝食バイキングやファミリーレストランのドリンクメニューで見かけないことがないオレンジジュース。そんなオレンジジュースが今、どんどん“入手困難”な存在になりつつあるそうだ。

 

 全国紙経済部記者が解説する。

 

 

「『ビヒダスヨーグルト』などの商品で知られる森永乳業は

 

『サンキスト100%オレンジ』を

、原料がなくなり次第、発売休止すると発表。

 

 

アサヒ飲料も『バヤリースオレンジ』の出荷を

2023年12月で打ち切り。

 

『Dole』ブランドで知られる雪印メグミルクも昨春で、

450mlと1リットルの100%オレンジジュースの販売を一時、見合わせています」

 

 

 

 背景にあるのは、日本がオレンジ果汁の6割を輸入しているブラジルでの

天候不順によるオレンジ不作や、

 

アメリカ・フロリダにおける

ハリケーンによるオレンジ収穫への影響だ。

 

これらの天候不良問題に加え、

止まらない円安による輸入作物の価格上昇も続いている。

 

現に20年には

259円だった輸入オレンジ果汁・1リットルあたりの価格は、

 

 

23年には

491円と倍近くにまで急上昇中。

この影響を受けて国内のオレンジジュース販売は、縮小傾向にあるというわけだ。

 

 

 スーパーマーケットなどの店頭からは紙パックに入ったオレンジジュースが次々と姿を消す一方で、

搾りたてジュースを売り出す自動販売機が現在、街中では増加中だという。

 

 

 

「生搾りジュースなどを売り出す英国発の企業『ME Group』が展開する、

搾りたてオレンジジュース自動販売機が増えているんです。

 

日本国内だけでも400台以上が設置されている

『Feed ME Orange』は、

4月26日に九州エリアへと初進出。

 

 

 世界30か国以上で展開され、

オレンジ果実をその場で搾ったジュースを提供する

シンガポール発の『IJOOZ』(アイジュース)も順調に設置エリアを広げ、

今や日本国内だけで200台以上の搾りたてオレンジジュース自販機を設置。

 

快進撃を続けています」(前同

 

 

 

 

なぜ「生搾りオレンジジュース」は好調を続けられるのか

 路上で目にする機会が着実に増えているオレンジジュース自販機。そもそもどういった仕組みなのだろうか。

「日本に初めて生搾りオレンジジュースの自動販売機を導入したのは『Feed ME Orange』で、21年7月にサービスを開始。料金を払うと、その場でオレンジを自動カットして搾りたてのジュースが提供されるという仕組みです。1カップは200gで、設置場所によって価格は異なりますが、おおよそ500円ほど。23年4月から国内で広まった生搾りオレンジジュース自販機の『IJOOZ』は、280mlと大容量で350円という“コスパの良さ”が売りですね」(前出の全国紙記者)

 大手飲料メーカーがオレンジの確保に苦戦し、次々とオレンジジュース市場から撤退するなか、なぜ、生搾りオレンジジュース自動販売機を運営する企業はオレンジを入手することができるのか。弊サイトは、『Feed ME Orange』の運営を行なう『ME Group Japan株式会社』のマーケティング部担当者に話を聞いた。

「今、問題になっているのは、オレンジの産地であるブラジルやアメリカ・フロリダでのオレンジ不作による果汁不足ですが、それらは濃縮還元のオレンジジュースに使用される果汁用です。弊社ではフレッシュなオレンジを使った搾りたてのジュースを提供するので、スーパーなどに並ぶオレンジジュースで使用される濃縮還元果汁に使われるオレンジとは産地や流通経路が異なります。

 輸入品の価格高騰や、オレンジの不作により需給バランスが崩れることで今後、間接的な影響が出てくる可能性はありますが、現段階ではオレンジの供給不足とはなっていません」(『ME Group Japan株式会社』マーケティング部担当者

 

 

 

 

スーパーに並ぶ商品にはない「体験という付加価値」

 スーパーなどに並ぶオレンジジュースとは使用するオレンジが異なるため、ブラジルやフロリダで起きたオレンジ不作の影響は受けにくいという、生搾りオレンジジュース自動販売機。一方、円安の影響で、輸入品であるオレンジの取引価格面へと悪影響は及んでいないのか。

「弊社では年間計画のもと海外のサプライヤー(仕入先や供給元)と契約しているので、急にマーケットの価格が急騰しても現状の価格にはダイレクトに影響はしない体制を整えています」(前出の『ME Group Japan株式会社』マーケティング部担当者)

 なお、生搾りのオレンジジュース自販機が街中で存在感を強めている理由として、担当者は「体験という付加価値と、生のおいしさ」を挙げる。

「まずオレンジをその場で搾るプロセスが見えるというエンタメ要素が生搾り自動販売機にはある。そして、一般にスーパーなどで販売されている濃縮還元果汁のオレンジジュースだと香料が添加されたものになりますが、弊社の生搾りジュースでは冷えたオレンジを使いますので、混じり気なしの100%ジュースを飲んでいただける。香りと濃厚さが市販の物とは全然違うので、リピートしてくださる方も多いです」(前同)

 ギュギュッと搾られた生搾りジュース。オレンジ本来のおいしさを武器に、快進撃は続くのか

 

 

 

オレンジを生搾りジュース自販機に補充する作業員。『IJOOZ』では1杯あたり丸ごと4個のオレンジを使うという。

※撮影/編集部