日経クロステック(xTECH)

川又 英紀
 

日経クロステック

2025年国際博覧会(大阪・関西万博)に民間パビリオンを共同出展する飯田グループホールディングスと大阪公立大学は2024年4月12日、建築の目玉となる西陣織を用いたパビリオン「飯田グループ×大阪公立大学共同出展館」の膜工事に着手した。完成すれば、世界最大の「西陣織建築」になる。民間企業と大学の産学連携による共同出展パビリオンも国内初の試みだ。

 

 

 

 

大阪・夢洲(ゆめしま)で万博パビリオン「飯田グループ×大阪公立大学共同出展館」の躯体(くたい)に、西陣織の膜を取り付ける工事が始まった(写真:飯田グループホールディングス)

大阪・夢洲(ゆめしま)で万博パビリオン「飯田グループ×大阪公立大学共同出展館」の躯体(くたい)に、西陣織の膜を取り付ける工事が始まった(写真:飯田グループホールディングス)

[画像のクリックで拡大表示]

 

 

 

 

 

 このパビリオンは未来と伝統の融合、そして持続、循環、継承、進化を象徴する「サステナブル・メビウス」をテーマにした外観デザインが特徴である。メビウスの輪を想起させる3次元構造物の外壁全面に、西陣織をまとわせた建築になる。西陣織で覆う外壁の表面積は、約3500m2に達する予定だ。

 

 

 

 西陣織は日本の高品質で繊細な伝統的工芸品として、世界にもその名を知られる高級絹織物だ。その西陣織を「着る」パビリオンは大きさだけでなく、日本らしさという意味でも大阪・関西万博の目玉になり得る。

 

 

 

 パビリオンの構造は骨組み膜構造、一部鉄骨造。階数は地下1階・地上2階建てで、高さは約13m。設計は高松伸建築設計事務所(京都市)、施工は清水建設が担当している。西陣織は京都で1200年以上続く織物だが、今回の制作は西陣織の老舗である細尾(京都市)が手掛ける。

 

 

 

 高松伸建築設計事務所の代表取締役である高松伸氏は、「長径24m、短径15mの巨大な楕円形都市モデルの周囲に全ての展示物を集め、ワンルームの立体展示を計画した」と語る。そのための架構を考え、メインアーチとサブアーチ、リングガーターなどの曲線構造材による3次元の躯体(くたい)形状がメビウスの輪を可視化することになるという