テスラ株、時価総額が一時5000億ドル割れ-リスク山積で地合いが悪化
Esha Dey
ブルームバーグ): 電気自動車(EV)大手、米テスラの株式時価総額が一時5000億ドル(約77兆3300億円)を割り込んだ。年初からの株価下落に加え、今週は一連の人員削減が発表され、投資家のセンチメントをさらに悪化させている。
16日のニューヨーク株式市場でテスラは約4%下げて154ドルを一時下回り、年初からの下げを約38%に広げた。テスラは今年、S&P500種株価指数の採用銘柄で2番目に大きい値下がり株となっており、昨年末から2900億ドル余りの時価総額を失った。同社が時価総額5000億ドル未満で取引を終えたのは、昨年4月末が最後。
Tesla Valuation Falls Below Half Trillion Dollars | Market cap has last been this low a year back© Bloomberg
テスラの苦境が始まったのは昨年10月。EV需要が減速していると警告したことがきっかけだった。しかしその全容が明らかになったのは今月、1-3月の納入台数がアナリスト予想を大きく下回ってからだ。
この数字がテスラの成長軌道に対する投資家の懸念を再燃させたところに、
同社が低価格のEV計画を棚上げし、
自動運転タクシーに注力するという
ニュースが飛び込んできた。
それに追い打ちをかけるように、
15日には大規模な人員削減が発表された。
JPモルガン・チェースのアナリスト、
ライアン・ブリンクマン氏は
「昨日発表された大規模なレイオフは、人の手による生産能力の低下に相当する。
これで納車台数減少の原因が供給ではなく需要の減少であることは確実になった」と述べた。
テスラの上級幹部2人が退社、世界的な人員削減のさなか-関係者
EV需要の低迷は世界的にメーカーを悩ませているが、
ことさらテスラ株には深刻な状況となっている。
テスラが将来のEV業界を支配する可能性があることから、
株価には多額の評価プレミアムが付いているからだ。
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)でさえ、
自動運転車の問題を解決できない限り、
テスラの価値は「基本的にゼロになる」と述べている。
テスラは来週4月23日に1-3月(第1四半期)決算を発表する。
成長が疑問視される時期に戦略を転換する理由について、説明が求められる。
ウェドブッシュのアナリスト、
ダン・アイブス氏は
「コスト削減の合理性やこれからの戦略、
製品ロードマップ、
そして全体的なビジョンを
マスク氏に語ってもらう必要がある」と述べた。
原題:Tesla’s Value Declines Below $500 Billion as Risks Pile Up(抜粋)
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