脱法的」な工事発注と第三者委が批判、市有地に大量の土砂搬入
青野 昌行日経クロステック/日経コンストラクション
土砂が搬入された市有地。砂ぼこりに対する住民からの苦情を受け、飛散防止剤を散布した(写真:山武市)
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市は2024年3月18日、「山武市小松地先市有地における土砂搬入に関する第三者委員会」(委員長:拝師徳彦弁護士)の報告書を公表した。報告書によると、問題の土地は14年に日本大学から無償で譲り受けた。
沼地を含むため、悪臭対策として市は土地の埋め立てを、市内の建設会社A社に発注した。同社は22年3月から6月にかけて、約2万m2の市有地に土砂を搬入。当初、想定していた高さ1~1.5mを大幅に超える2.5~3mまで積み上げた。
積み上がった土砂(写真:山武市)
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過剰な土砂搬入につながった要因として第三者委が問題視したのが、A社との契約方式だ。市有地全体を埋め立てられる量の土砂を無償で提供できるというA社からの申し出を受け、市は同社に単価契約方式で発注した。
単価契約とは、ブルドーザーやバックホーなどの重機をオペレーターの人件費込みで借り上げる方式のこと。稼働した台数と日数によって支払額が決まる仕組みだ。通常は、道路の簡単な補修などに適用する。
各重機の単価は、市内の建設会社と一律で取り決めている。会社同士の価格競争にならないので、市が選んだ会社と随意契約で発注する。
随意契約は本来、極めて少額の工事や緊急を要する災害復旧などに適用する方式だ。この市有地の埋め立て工事の規模ならば、通常の請負契約として入札にかけるべきだった。しかし市は、手続きが簡便という理由で単価契約を採用した。
完成時の高さを示す図面や仕様書、土砂の量と品質に関する文書などを作成せずに発注。1~1.5mという高さも、市の担当者がA社に口頭で指示しただけだった。想定した高さに積み上げた後も、A社は土砂に生じた凹凸をならすため、さらに積み上げようと提案。市の担当者は上司の判断を仰ぐことなく、その場で了承した
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