物流2024年問題
ゼネコンと物流会社がタッグ、CO2削減でウィンウィン
伊藤 威
日経クロステック/日経アーキテクチュア
資材を建設現場に直接輸送するのではなく、中間物流拠点を介して搬入する仕組みを採用する建設会社が出てきた。2024年問題に直面する建設業界と物流業界がタッグを組み、様々な課題の解決を狙う。
大林組は2022年に建設資材の納入車両をエリアごとにまとめて収容する「エコロジサイト」を開設し、試験運用を始めた。東京都江東区の拠点は約3750m2の広さがあり、1日に20~30台の車両が利用する想定だ。施設内にはトラックドライバー向けの休憩所も整備した〔写真1〕。
〔写真1〕建設現場に向かう車両が集結
東京都江東区にある大林組の中間物流拠点「エコロジサイト」の様子。車両の待機場所の他にも資材の仮置き場などを設けた。写真左下のドライバー向け休憩所にはトイレや喫煙所などを整備した。拠点の運営にかかる初期費用は2000万~5000万円、維持費用は年間8000万~1億5000万円だという(写真:大林組)
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エコロジサイトを活用する現場は、資材の仮置き場を設けられない都心部の案件が中心となっている。東京の拠点では現在、土木・建築を合わせて6現場で運用している。
エコロジサイトには周辺の建設現場で使用する仮設資材に加え、鉄筋や型枠、杭などが搬入され、仮置きされている。資材は使用する現場ごとに小分けにして、各現場に輸送する。現場に近い中間物流拠点を経由することで、効率的に資材を搬入できるようになった〔図1〕。
〔図1〕資材輸送の効率化で現場とドライバーの負担軽減
中間物流拠点を経由した建設現場への資材輸送のイメージ。工場から中間物流拠点、拠点から現場までの間でそれぞれ積み荷を満載にして運ぶことができるため、資材を効率的に輸送することができる。一定量の資材を保管しておくことで、安定供給や価格変動のリスク抑制にもつながる(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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従来はメーカーの工場などから現場に直接、資材を輸送していたが、運行状況が悪く、車両の到着が遅延した場合、計画の再調整といった工程管理上の作業が発生していた。輸送車両に待ち時間が生じることもあり、現場周辺での交通渋滞や、アイドリングによる排ガスの発生などが問題となっていた。
トラックドライバーにとっては、建設現場における拘束時間が長いことが負担増加につながっている。大林組生産企画部の荒牧泰幸副部長は「運送件数が多いほど収入が増えるドライバーにとって、待機時間の長い建設現場の仕事は敬遠される存在だった」と語る
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