破綻したアウトレット跡地に、会員制ホテル進出へ 北杜市が協定

朝日新聞社

 

 

 

会員制ホテルが進出する八ケ岳リゾートアウトレットの跡地。現在閉鎖されたままだ=2024年3月29日、山梨県北杜市小淵沢町、米沢信義撮影

会員制ホテルが進出する八ケ岳リゾートアウトレットの跡地。現在閉鎖されたままだ=2024年3月29日、山梨県北杜市小淵沢町、米沢信義撮影© 朝日新聞社

 

 

 

 

 経営破綻(はたん)した「八ケ岳リゾートアウトレット」(山梨県北杜市小淵沢町)の跡地に、会員制ホテルを展開するリゾートトラスト(本社・名古屋市)が進出することになり、市と協定を結んだ。2026年度の開業を目標としている。大型商業拠点の閉鎖から11カ月。誘致を進めてきた市や地権者らは「新たな地域活性化にめどがついた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 

 

 

アウトレット跡地へのホテル進出について、地権者代表とともに説明する上村英司・北杜市長=2024年4月3日、山梨県北杜市須玉町、米沢信義撮影

 

 

 

 市が3日、会見を開き発表した。

 

 

 

 ホテルが進出するのは小淵沢財産区や岩窪共有地管理会が所有する約18ヘクタール。ここでは旧小淵沢町(現北杜市)の出資を受けて設立された運営会社が大型商業施設「八ケ岳リゾートアウトレット」を2001年に開業したが、コロナ禍の影響で23年6月に経営破綻し、閉鎖された。滞納された地代や市税など約6千万円も支払われず、市が窓口となって跡地で事業展開する業者を探していた。

 

 

 市によると、リゾートトラスト社が用地を借り受け、今年中にもホテルの着工に入る。敷地内にある市所有の建物は同社に無償譲渡し、解体費用は同社が負担する。ホテル計画の内容は未定だが、事業規模は100億円以上。低階層の建物を複数建設し、温泉掘削も行う予定だ。

 

 

 

 協定では、上下水道の拡充工事などの市側の支援と、ホテル側の地域振興や雇用への寄与などが盛り込まれた。同社は地権者側と5月をめどに跡地の賃貸借契約を結ぶ。土地の賃貸借契約は60年で、賃貸料は年間1300万円となる見通し。市は上下水道拡大工事の調査費や市有建物の譲渡の議案を6月議会に提案する方針だ。

 小淵沢エリアは標高1千メートル前後の観光地で別荘も多い。会見で、上村英司市長は「自然を生かして、付加価値のある高級ホテル誘致をめざし、この会社を選んだ」と話した。岩窪共有地管理会の佐藤明会長は「突然の施設閉鎖で先が見えず不安だったが、ほっとしている」と語った。

 

 

 リゾートトラスト社は全国に会員制のリゾートホテルを持ち、県内では山中湖村に施設がある。

(米沢信義

 

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