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警備緩んだ大統領選後を狙ったか」 識者指摘、モスクワ銃乱射テロ
警官が警戒に当たるテロの襲撃現場付近=モスクワ州で2024年3月23日、山衛守剛撮影
近年は目立ったテロ事件がなかったロシアで、首都近郊のコンサートホールが武装グループに襲われる惨事が起きた。過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出し、思想に基づくテロとの見方が強まる。高橋和夫・放送大名誉教授は「警備が緩んだ大統領選後を狙った可能性がある」と指摘する。
プーチン政権は以前からロシア南部・北カフカスの一部イスラム教徒を弾圧したり、シリア・アサド政権を支援したりして、イスラム国(IS)とは緊張関係にあった。 今回、ISがなぜロシア大統領選(15~17日)の直後にテロを行ったかはよく分からない。ただ一般的に選挙期間中は国内の警備が強化されるので、「やれる機会を待ってやった」という側面があるかもしれない。 ISが本当に実行犯なのかという疑問はあるが、米国も事前に情報を得てロシアに警告していたようで、確度は高いのではないか。ただISは通常、自爆テロを多用しており、銃撃・逃走した今回の手法はやや意外だ。また犯行声明についても、ISは数日おいて出すことが多いが、今回はすぐに出している。 ISは近年、欧州でのテロが少なかったのであまり国際ニュースで注目されていなかったが、他の地域ではおとなしかったわけではない。アフガニスタンでは「ISホラサン州」(IS―K)の活動が活発で、1月にはイラン南東部ケルマンで自爆テロを行い、100人ほどが犠牲になっている。 イスラエルの侵攻によりパレスチナ自治区ガザ地区では人道危機が深刻だ。イスラム教徒がISのような過激な主張に魅了される懸念が世界的に強まっており、他の地域でもテロの危険性は高まっている。
【聞き手・岡大介