いい音にするための基礎部分、電源の経路の価値を高める

【音質レポート】

フルテック

最新電源ボックス

ケーブル

 

評論家が自宅システムで実力検証

2024/02/22

 

 

角田郁雄オーディオ機器が本来持つ、音の性能や魅力を引き出ために大切なのは「電源」。フルテックは、その関連アクセサリーの豊富なラインアップを持つ。ここでは、音質を徹底追求しつつ使い勝手も良い、最新の電源ボックスとケーブルの効果を、角田郁雄氏が自宅システムに使って詳しく音質レポートする。

 

 


 

FURUTECHの電源ボックス 「GTO-D2 NCF(R)」136,367円・税込と、FURUTECHの電源ケーブル 「Powerflux-C15 NCF-18」389,620円、1.8m・税込

リーズナブルでNCF効果が活きる最新ボックス「GTO-D2 NCF(R)」

フルテックは、特殊素材「NCF」を開発以来、ケーブル/コネクターホルダーの「NCF Boosterシリーズ」のみならず、電源コネクター、ラインコネクターなどにも、積極的に製品群を拡張している。

とりわけアナログレコード再生では、静電気は大敵だ。トーンアームケーブルやフォノイコライザーのラインケーブルにも帯電する。「NCF Boosterシリーズ」は、こうした箇所にも有効だ。
 

FURUTECHのケーブル/コネクターホルダー「NCF Boosterシリーズ」。左から、「NCF Booster」、「NCF Booster-Signal」、「NCF Booster-Signal-L」

 

 

クレイドル(ケーブルやプラグを受ける部分)との接触面積を確保するために、付属のゴムバンドで固定するとさらに効果的で、私は実践している。個人的には、再生の上流から下流のスピーカーまで順番に導入を進めてきたが、さらに個人的な関心ごととしては、NCF素材を使用した画期的でリーズナブルな価格の電源ボックスの登場を期待した。それが、ついに登場した。4連コンセント仕様の「GTO-D2 NCF(R)」だ。
 

最も低い高さに対応する「NCF Booster-Signal」27,555円・税込の各パーツ。

2本のゴムベルトは、ケーブル類を固定するためのもの

 

 

 

外観はシンプルながら、その内容は実に高品位だ。

まず全体の特徴は、

NCF素材とアルミなどの異種素材とを組み合わせ、

 

静電気除去と

振動を低減させる

マルチ・マテリアル・ハイブリッド構造だ。

 



各部を説明すると、

 

筐体は特殊グレードのCNC加工された高硬度なアルミ製。

 

外部からの高周波干渉(RFI)を防止するため、

特殊なフルオロポリマー製ダンピングフォイルも採用。

 

 

実に理想的な筐体だ。

 


 

 

電源ボックス「GTO-D2 NCF(R)」の本体内の底部に設置した、FURUTECHの電磁波吸収材GC-303の効果で、外来ノイズを効果的に吸収する

 

 

 

上部のコンセントカバーには、フルテックのハイエンド・オーディオグレード・アウトレットカバー、「106-D Plus NCF」を使用。

 

このカバーは、他に類を見ない究極の仕様。NCFカーボンフィバーやNCF調合特殊ダンピング材などを使用した、多層のマルチレイヤー構造だ。高い制振効果、静電気除去、ノイズ除去性能を得ている。

 



コンセントは、アース付き2連コンセントで、NCFポリカーボネート・カバー部に制振素材のナノサイズのセラミックパウダー及びカーボンパウダーを調合。

 

これを特別なオーディオグレードのナイロン/グラスファイバーで絶縁した。電極部のブレードには特殊ロジウムメッキ処理の非磁性リン青銅を使用。

内部配線は、フルテックの「高純度μ-OFC Alpha-22導体」(断面積:3.8sq)を採用し、2層フッ素ポリマーとポリエチレンを外被に使用。

 

これは、オーディオグレードのフルオロポリマーとポリエチレンの絶縁材だ。これにより、静電気の発生も低減した。
 

 

 

電源入力用のインレットには、

やはりロジウムメッキのフルテック「FI-06 NCF(R)」も採用。

 

筐体の底板には、

 

同社独自で開発した電磁波吸収素材、

GC-303を内部配線とは非接触で設置している。

 

 

このように、この電源ボックスは、

電源ケーブルとの確実な勘合を行い、

外部振動の排除、

外来ノイズと静電気の低減を徹底して行っているのだ。

 

 

 



試聴は自宅でも行ったが、

まさに搭載技術が反映され、

音の透明度や

解像度が

一気に向上した。

 

特に、楽器や声の微細音が浮き上がり、

倍音を豊かに再現したことに感激した。

 

当然のことながら、空間描写性も向上した。

 

 

明らかに電源タップのノイズ除去、

微細振動の低減、

静電気除去が

情報量に影響することが、

あらためて理解できたのだ。

 

 

 



 

スリム端子で適応力を最高峰ケーブル「Powerflux-C15 NCF-18」

続いて、組み合わせたフルテックの新しいフラッグシップ電源ケーブル、「Powerflux-C15 NCF-18」も紹介しよう。

 

 

 

「Powerflux-C15 NCF-18」のスリムIECコネクター部。従来の円筒型コネクターでは、端子周辺のスペースが狭くて挿せなかった機器にも、挿すことができる最高峰電源ケーブル

 

 


その特徴は、IECコネクターがスリムな角形のNCF仕様の「CF-C15 NCF(R)」になり、従来のホスピタルグレードのような円筒形では接続できない機器にも対応したことだ。プラグ部には「FI-50M NCF(R)」を採用。いずれも、ボディ部(絶縁体部)にNCF材を調合し、強力な制振効果に静電除去効果を加えた。



ケーブル素材は、フルテックの「α-導体(OCC)」の高密度導体を採用した。伝送特性に影響をもたらす絶縁体には、振動とノイズを低減させるカーボンパウダー調合の2重シース構造のPVCを使用し、柔軟性も考慮した。



ケーブルの中間には、独自のEMI吸収フィルターGC-303も装備し、振動低減するネオダンパーテクノロジーも採用。また、細かな注目点では、両端子のブレードに線材を挟むネジ止め方式を強化。多層の非磁性ステンレスと、銀メッキ・カーボンファイバーのシェル部には、特別な減衰と絶縁を行うアセタールポリマーを使用し、特許技術アースジャンパーを採用することだ。

 



「Powerflux-C15 NCF-18」の試聴は、「GTO-D2 NCF(R)」と組み合わせて行った。大きく変化したことは、前述の特徴に加えて、さらに静寂感と解像度が高まったことで、音の透明感やダイナミックレンジが拡張した印象を受けた。音楽の躍動感も増し、機器が良い意味でハイスピード化されたように実感。アナログを極める方にも、ぜひ体験して欲しい。



【GTO-D2 NCF(R)】
●型式:電源ボックス●筐体:特製CNC加工特殊グレードアルミシャーシ+特殊フルオロポリマー製ダンピングフォイル(RFI防止)●IECインレット:「FI-06 NCF(R)」(非磁性ロジウムメッキ)●アウトレットコンセント:GTO-D2 NCF(R)専用・特製NCF仕様・非磁性ロジウムメッキコンセント●アウトレットカバー:「106-D Plus NCF」●内部配線:高純度μ-OFC Alpha-22(3.8sq mm)導体+2層フッ素ポリマーとポリエチレン絶縁体●サイズ:約108.5W×77H×283.4Lmm(スパイク部除く)●質量:約2.1kg(ネット)

【Powerflux-C15 NCF-18】
●型式:電源ケーブル●接続部端子部(端子接点は非磁性ロジウムメッキ):プラグ「FI-50M NCF(R)」(カーボンファイバーNCF仕様)、IECコネクター「CF-C15 NCF(R)」(スリムタイプのカーボンファイバーNCF仕様)●ケーブル素材:α-導体(OCC素材)の高密度導体●絶縁材:カーボンパウダー調合の高機能PVCを用いた2重シース構造(振動と外部からのノイズを遮断するとともに柔軟性を合わせ持つ)●ケーブル直径:約17.5mm●定格:15A 125
(協力:フルテック)


本記事は『アナログ82号』からの転載です

 

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