日本は、
==================
清水建設、営業赤字575億円予想の衝撃「超大型建築工事」踏まえリスク見直し
星野 拓美
日経クロステック/日経アーキテクチュア
営業赤字575億円──。
清水建設が2024年3月期決算(単体)で
前代未聞の巨額赤字に陥りそうだ。
同社は24年2月8日、
24年3月期の通期業績予想を発表し、
営業損益の見通しを23年5月に公表した期初予想から
885億円下方修正した。
同社が通期で営業赤字となれば、
1961年の株式上場以来初となる。
売上高の見通しは期初予想を据え置き、1兆5300億円とした。
清水建設が2024年2月8日に発表した24年3月期決算(単体)の通期業績予想。▲はマイナス(出所:清水建設の資料を基に日経クロステックが作成)
[画像のクリックで拡大表示]
清水建設の2024年3月期決算(単体)の営業損益は575億円の赤字になる見通しだ。前期は331億円の黒字だった(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
同社は営業損益を大幅に下方修正した理由として、国内外の大型建築工事で採算が悪化したことを挙げる。建築の完成工事総利益率(粗利率)の予想はマイナス3.3%。2023年3月期はプラス4.1%だった。
国内では22年以前に受注した複数の民間大型建築工事で、設備工事などのコスト上昇分を請負代金に転嫁し切れず利益を圧迫した。さらにこれらの大型建築工事について、今後工程が逼迫し、労務費などが膨らむリスクを新たに織り込んだ。
同社の蜂屋隆之経理部長は、「当然、赤字で受注していたわけではなく、工期についても受注時は適正と考えていた」としつつ、次のように続ける。
「24年3月期の上期に、当社がこれまで施工したことがなかった規模の超大型建築工事が引き渡しを迎えた。
引き渡し後、
この物件の工事原価を改めて精査する中で、
超大型ならではの歩掛かりなどが分かってきた。
このような『今になって初めて分かったこと』を踏まえて
手持ちの大型建築工事を見直すと、
工事原価が膨らむことが明らかになった」
蜂屋経理部長はこの「超大型建築工事」の名称を明かさなかったが、
23年6月に竣工した
「麻布台ヒルズ森JPタワー」(東京都港区)
と見られる。
超高層ビルとしては日本一の高さ約330mを誇る。
2023年11月に開業した麻布台ヒルズ。
写真左の超高層ビルが森JPタワーで、高さは約330m