極右政党の躍進が止まらないその背景
“欧州の模範”ドイツでEU離脱「Dexit」を望む声が高まっている
フィナンシャル・タイムズ(英国)ほか
COURRiER Japon
2016年、国民投票によって英国がEU離脱を決めた「ブレグジット(Brexit)」は、各国で進む分断と、客観的な事実より個人の感情が世論に強く影響する「ポスト真実」を象徴する出来事として、世間を大きく騒がせた。
あれから8年の時を経て、今度はドイツでEU離脱を求める声が高まっていると欧米各紙が報じている。こちらは独語でドイツを意味する「Deutschland」と離脱を意味する英語「exit」を組み合わせ、「デグジット(Dexit)」と呼ばれる。
発端は2024年1月、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、デグジットを政権公約に盛り込んだことだった。
これを受け、AfDの共同党首アリス・ワイデルは英紙「フィナンシャル・タイムズ」の取材に対し、5月に開催される欧州議会の際、同党が求めるEU改革案が受け入れられなければ、政権与党になった暁にはデグジットをすべきか否かを問う国民投票を実施すると述べる。
ワイデルはさらに同紙で、英国の決断は「大正解」で、「この主権のある判断はドイツの手本となるものだ」と絶賛している。
AfDの共同党首ワイデル。経済学の博士号を持ち、ゴールドマン・サックスなどを経て、2013年に入党。彼女のこうした経歴が、中流層の有権者を取り込むのに一役買っているという Photo by Filip Singer – Pool/Getty Images
AfDの過激な言動はこれだけにとどまらない。独調査報道団体「コレクティーフ」は、2023年11月にAfDのメンバーが、移民背景を持つ数百万人のドイツ市民をアフリカなどへ強制移住させる計画について協議したと報じ、大きな波紋を呼んだ