世界最大級の4主塔斜張橋が着工へ、トラブル続きで開通見通せぬ高速道路も
夏目 貴之日経クロステック/日経コンストラクション
事業費の高騰や相次ぐ地盤トラブルなどの影響を受け、高速道路の新設プロジェクトが逆風に見舞われている(資料1)。
資料1■ 新名神や東海環状の一部区間が2024年度に完成予定
事業に着手済みの主な高速道路の進捗状況。北海道と沖縄県の地図は割愛(出所:国土交通省や高速道路会社の資料を基に日経クロステックが作成)
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代表例が、大深度地下を掘削する東京外かく環状道路(外環道)の東名ジャンクション(JCT)─大泉JCT間だ。20年10月に東京都調布市の住宅地で地表の陥没事故を起こし、全てのシールド掘進を停止。一部で運転を再開するまで約2年を要した(資料2)。
資料2■ 損傷した外環道・大泉南(南行き)トンネルのシールド機。前面を開削し、損傷箇所を確認した(出所:東日本高速道路会社)
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23年8月に地盤の補修工事に着手した後も、施工者が掘削完了区間の地表で舗装に生じた損傷を管理者に無断で補修するなど地域住民の不信を招く対応が発覚。開通時期のめどは立っていない。
2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の事業費の増額に対する批判が高まり、新大阪駅近辺と万博会場の夢洲(ゆめしま)方面をつなぐ淀川左岸線(2期)にも注目が集まっている(資料3)。内閣府は23年末、淀川左岸線(2期)を含む道路整備などで約7580億円の国費負担が生じると整理した。
資料3■ 写真奥の左岸側の河川敷で工事を進めているのが、淀川左岸線(2期)だ(写真:生田 将人)
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一方、淀川左岸線(2期)の東側では、大深度地下の掘削によって同路線と第二京阪道路などを結ぶ延伸事業が本格化している。阪神高速道路会社は23年、トンネル部分の詳細設計業務などを相次いで発注した。
橋梁に関しても注目の大型工事が始まる。六甲アイランド北と駒栄を結ぶ大阪湾岸道路の西伸部だ。全長2739mの7径間連続4主塔鋼斜張橋の建設に着手する(資料4)。支間長は653mで、3主塔以上の連続斜張橋としては世界最大級だ。阪神高速は23年11月、技術提案・交渉方式で詳細設計付き工事を公告した。
資料4■ 大阪湾岸道路西伸部に建設する世界最大級の斜張橋の模型。各支間長は653m(出所:国土交通省
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