テスラの「大惨事」レベルの決算発表、ウォール街のアナリストはこう見ている(海外)
テスラの第4四半期決算報告は投資家たちを失望させ、ウォール街での急落を引き起こした。 テスラは決算発表後に、500億ドルもの市場価値を失っている。 ウォール街のテスラに対する評価と、今後の同社の動向を見てみよう。 ウォール街のアナリストの中には、テスラ(Tesla)の最新の投資家向け決算説明会は完全な失敗だったとして、この電気自動車メーカーに厳しい時代が訪れる可能性を警告している者もいる。 イーロン・マスク(Elon Musk)率いるテスラの第4四半期決算は、2024年1月24日の取引終了後に発表され、予想を下回る利益と売上高、そして生産減速に対する厳しい警告で投資家を失望させた。テスラの第4四半期の売上高はわずか251億7000万ドル(約3兆7000億円)で、予想の258億7000万ドル(約3兆8000億円)を下回った。調整後の1株当たりの利益は0.71ドル(約104円)となり、予想の0.73ドル(約107円)を下回った。 ウォール街のアナリストたちは、テスラの決算、そしてこの電気自動車メーカーの今後の見通しについて以下のように述べている。
ダン・アイブス(ウェドブッシュ証券)
米資産運用大手のウェドブッシュ・セキュリティーズ(Wedbush Securities)は、マスクとその幹部チームが積極的に行動して投資家に必要な安心感を与えることができず、その結果、テスラは投資家に対し、「大惨事」のような決算発表を行っただけだと批判した。 ウェドブッシュのダン・アイブス(Dan Ives)率いるアナリストチームは、2024年1月24日のメモで、「マスクとそのチームが電話会議で大人の対応をし、進行中である価格の引き下げ、マージン構造、(変動する)需要について戦略的かつ財務的な概要を説明してくれると期待していたのは完全に間違いだった」と述べた。 アナリストたちは、テスラの利益率や高コスト構造に関して出された曖昧なガイダンスについて指摘している。マスクは、主にテスラの生産、新車のスケジュール、AIへの投資にフォーカスしており、「より慎重になっている」ように見えたという。 ウェドブッシュはテスラに対し長期的に強気の見方を崩しておらず、推定納車台数は前年比17%増の約210万台になる可能性があるとの見通しを示した。また、目標株価を1株当たり350ドル(約5万2500円)から315ドル(約4万7250円)に引き下げ、51%上昇の可能性を示唆した。 「テスラにとって長期的なストーリーに変化はなく、より広範な大衆市場への電気自動車の普及が間近に迫っていると確信している」とストラテジストらは述べた。 「しかしながら、価格引き下げは短期的には『カテゴリー4に近いハリケーン』で、マスクとテスラからの詳細な情報、指針、コミュニケーションの欠如は、強気派にとっては耐え難いものだ
ビクトリア・グリーン(Gスクエアード・プライベート・ウェルス)
Gスクエアード・プライベート・ウェルス(G Squared Private Wealth)の最高投資責任者(CIO)のビクトリア・グリーン(Victoria Greene)によると、テスラは自社がどのような企業なのかという焦点を失いつつあるのかもしれないという。 グリーンはCNBCのインタビューで、テスラはAI、人型ロボットオプティマス(Optimus)、その他の将来のプロジェクトについて幅広く議論する一方で、自動車販売についてはあいまいなガイダンスを発表したと指摘し、「今日の決算説明会では、彼らは自動車製造以外のすべてのことを話していた」と語った。 テスラの収益の94%が自動車販売から得られていることを考えると、これは問題だとグリーンは示唆した。 「もし彼らがAI企業に軸足を移そうとしているとしたら…、それは収益構造の大きな変化だ」とグリーンは言う。 「企業がアイデンティティの危機に直面していることがあると私は、利益と成長がどのくらい続くのかが少し心配になる」 テスラの株価は2023年に2倍以上に上昇したが、これは主にウォール街の人工知能に対する興奮によるものだった。投資家たちは資金をAI関連の投資に注ぎ、テスラは市場で最もパフォーマンスの良い銘柄のひとつになった。
ジーン・ミュンスター(ディープウォーター・アセット・マネジメント)
テスラの決算は、最も強気だった投資家たちの楽観的な見方をいくらか弱めた。 「これは私が見た中で最も悲観的な見通しだった」とディープウォーター・アセット・マネージメント(Deepwater Asset Management)のマネージングパートナーであるジーン・ミュンスター(Gene Munster)は、2024年1月24に日のCNBCのインタビューで話した。 ミュンスターは、2024年の同社の売上成長率は10%程度になるだろうと予想しており、この落ち込みは2024年中に株価を5%から10%程度下げる可能性があると見ている。 テスラの成長の勢いが戻るまで、投資家はおそらく1年待つ必要があるという。2024年の生産・出荷台数は10%程度の成長しか見込めないが、テスラの次世代車の発売が予想されることもあり、2025年には30%程度まで成長する可能性があるとミュンスターは推測している。 「もしあなたが(電気自動車の)未来を信じるのであれば、テスラが2024年に発表したパンチの利いたソフトなガイダンスは、結局のところノイズだったことが証明されるだろう。なぜなら、テスラが行っているすべてのこと、つまり次世代車両プラットフォームの構築や投資と自動運転のために行ってきたすべてのことは、伝統的な自動車メーカーが後退している時期に行われているからだ」とミュンスターは述べ、テスラは伝統的な自動車メーカーよりも長期的には有利な立場にあると信じていると付け加えた。
Jennifer Sor