隈研吾氏デザインのリノベカフェ「和國商店」開業、神社の緑青銅板を外装で再利用

中東 壮史

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

東京都東村山市にある昔ながらの商店街に、築50年超の空き店舗を改修したカフェが完成した。緑色や茶色をした緑青銅板の外装が目を引く「和國商店(わくにしょうてん)」だ。2024年1月19日の開業に先駆けて同年1月18日、記者向けに内覧会が開催された。

2024年1月19日に開業した「和國商店」(写真:日経クロステック)

2024年1月19日に開業した「和國商店」(写真:日経クロステック)

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 和國商店は、隈研吾建築都市設計事務所(東京・港)がデザイン監修を担当し、岡庭建設(東京都西東京市)が設計・施工した。発注者は、建物の屋根や外壁工事などを手掛けるウチノ板金(東京都東村山市)だ。

 和國商店でひときわ目を引く、五角形を組み合わせた立体的な外装は、広島県廿日市市にある速谷神社で塀などに使われていた緑青銅板を再利用したものだ。板金職人が手加工でつくった699枚の板金をハゼ葺き(ぶき)で取り付けた。

 立体加工した板金の下には、金属外装材メーカーのタニタハウジングウエア(東京・板橋)が独自開発した人工緑青銅板を張った。外装を二重に覆うことで雨仕舞い(あまじまい)した。

中央右寄りに写るのが和國商店。東京都東村山市にある青葉商店街の一角に立つ(写真:日経クロステック)

中央右寄りに写るのが和國商店。東京都東村山市にある青葉商店街の一角に立つ(写真:日経クロステック)

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立体的な板金の外装には、広島県廿日市市にある速谷神社で使われていた緑青銅板を再利用した(写真:日経クロステック)

立体的な板金の外装には、広島県廿日市市にある速谷神社で使われていた緑青銅板を再利用した(写真:日経クロステック)

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 隈氏は外装のデザインについて、「日本の板金技術はすごい。世界一だと思う。ウチノ板金のプロダクトである板金製の折り鶴を見て、板金で立体物をつくれることに驚いた。建物にも板金を立体的に使いたいと思った」と説明する。

ウチノ板金がつくった板金の折り鶴を手に取る隈研吾氏(写真:日経クロステック)

ウチノ板金がつくった板金の折り鶴を手に取る隈研吾氏(写真:日経クロステック)

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 和國商店は木造の地上2階建てで、延べ面積は約50m2。空き店舗になっていた店舗兼住宅の柱や梁(はり)をできるだけ残して改修した。岡庭建設の設計担当者は、「発注者が施工した屋根や外装、什器(じゅうき)などを除き、建設費は約3000万円だ」と語る

 

 

隈研吾氏デザインのリノベカフェ「和國商店」開業、神社の緑青銅板を外装で再利用 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)