欧米の、穴場の、お食事処は、
お値段は妥当ですし、
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多角化進めるニトリ 2年前に始めた「レストラン」は今、どうなっているのか
SPA(製造小売)業態を武器に家具業界で強い存在感を示すニトリホールディングス(HD)だが、近年は外食事業を模索する動きが見られる。2021年3月に「ニトリダイニング|みんなのグリル」(以下、ニトリダイニング)をオープンして以降、数店舗を出店。今年はヘルシーメニューやサンドイッチを扱う業態も展開している。
外食は他業態が始めて、簡単にもうけられるほど楽な商売ではない。家具と食事、全く相容れない印象があるが、なぜニトリは外食事業に進出しようとしているのか。ニトリダイニングの特徴と外食進出の思惑について考察する。
「ニトリダイニング」として3業態を展開
ニトリHDが自社ブランド初の飲食店をオープンしたのは21年3月のことだ。東京都足立区にある、ニトリ環七梅島店の敷地内にニトリダイニングをオープンした。チキンステーキやリブステーキ、ハンバーグなど肉系がメインのメニュー構成となっており、何より安いのが特徴だ。 当時の値段はチキンステーキ(240g)が500円、リブステーキ(150g)が980円となっており、現在はチキンステーキが550円、リブステーキは130gで1090円と値上げされているものの、それでも他社よりは安めの設定である。サイゼリヤのチキンステーキ類が500円、今はなくなってしまったリブステーキが1000円だったことから、サイゼリヤ並みの価格設定といえる。ちなみにハンバーグステーキ(150g)とライスを頼むと790円であり、びっくりドンキーのレギュラーバーグディッシュ(150g・810円)とほぼ同じ価格である。 現在は東京・神奈川で計6店舗を展開するニトリダイニングだが、今年は従来型であるみんなのグリル以外の業態を出店している。11月に成増店をリニューアルする形で「ヘルシーファースト! みんなのグリル」をオープンし、12月には島忠のホームズ川崎大師店フードコート内に新規出店として「ヘルシーファースト! みんなのサンド」をオープンした。つまり現時点では通常のグリル店が4店、HF(ヘルシーファースト)みんなのグリルが1店、HFみんなのサンドが1店という3ブランド体制になっている
「HF」2ブランドはヘルシーなメニューが充実
HFみんなのグリルはその名の通り、ヘルシーさを追求したメニュー構成となっている。肉と米、そして野菜がワンプレートになった「ボックス」がメインだ。チキンとハーフサイズのハンバーグと野菜、さらに米がついたチキンバーグボックスは790円、チキンステーキボックスは990円である。 HFみんなのサンドは、レタスとトマトが入ったサンドイッチメニューが主軸。ハムサンドとポテトがセットとなったハムサンドボックスは790円、野菜たまごサンドボックスは690円である。 現在3ブランド6店舗で展開している外食事業の出店形式は、ニトリの敷地内にオープンするタイプとホームズのフードコート内に出店するタイプの2種類がある。家具店兼ホームセンターのホームズは、フードコートのほか、しまむらやJINSといったテナントを含むモールのような店舗が多い。21年2月期にニトリHDが島忠を子会社化したため、ホームズ内にニトリダイニングを出店できたようだ。 いずれもグループの敷地・施設内に出店していることから、純粋な飲食店としての成功を狙うのではなく、ニトリやホームズとの相乗効果を期待していると考えられる。みんなのグリル(HF店含む)は肉類をメインとしており、メニュー的にはいきなり!ステーキやびっくりドンキーが競合になりそうだが、郊外や他の商業施設内に出店しているわけではない。HFみんなのサンドもサブウェイのような展開を目指すのであれば、駅前繁華街に出店するはずだ。 家具と外食で相乗効果が発揮された例としては、
IKEAが挙げられるだろう。
スウェーデン料理などもの珍しい料理を提供するIKEAレストランは、
それ自体を目的とする客も多く、
IKEA本体への呼び込みにもつながっている。
筆者としては、
現時点のニトリダイニングに
IKEAレストランほどの集客力があるとは思えないが、
食事の場が併設されることで客の滞在時間が伸び、
モールのように全体として売り上げが増える効果が期待される。
ニトリダイニングの出店ペースは2年で6店舗と遅いが、
すでに3業態を展開していることから、
どれがヒットしそうか模索している段階にあると考えられるだろう
「安さ」以外の付加価値を模索
「お、ねだん以上。」をスローガンとして、特にデフレ経済である00年代に入ってからニトリは安さを武器に急成長し、地位を確立してきた。生産から物流、小売までを自社で一括管理するSPAは中間業者へのマージンを抑えられるため、安さで他社に勝る。売上高は03年に1000億円を達成し、17年2月期には5000億円、21年2月期には7000億円を超え、今期は9320億円を見込む。 多くの業種が苦しんだコロナ禍でも、ニトリは巣ごもり需要に支えられて業績を伸ばした。しかし、長期では人口減少による市場縮小は避けられない。大型家具店としての将来性が危ぶまれる中、新業態を模索してきた形だ。前述した島忠の子会社化だけでなく、近年では女性向けアパレルブランド「N+(Nプラス)」を発表。Nプラスは9月30日時点でイオンモール内などに約40店舗を展開している。09年度から販売しているPBの家電製品では、エディオンとの共同開発を始め、大手家電メーカー出身者の採用も進めている。 以上のようにニトリは新業態(島忠・Nプラスなど)のほか、本業の集客力を高める施策(家電など)を模索・構築してきた。ニトリ・ホームズとの相乗効果を期待する外食事業への参入は、後者に該当する。現段階でニトリダイニングの成否は判断できないが、仮に大成功となれば、飲食店単体の新規事業として全国的に展開されるかもしれない。 著者プロフィール:山口伸 化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー
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