日本初の立体交差駅を一新、昔日の面影を残す仕掛けとは?

三上 美絵
 

 

 

 

 

新駅舎に建て替わったJR折尾駅と、新たに整備した北側駅前広場(写真:イクマ サトシ)

新駅舎に建て替わったJR折尾駅と、新たに整備した北側駅前広場(写真:イクマ サトシ)

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 北九州市で1891年に開業したJR折尾駅は、日本初の立体交差駅として知られています。市などが進める「折尾地区総合整備事業」の一環として、1916年建設の旧駅舎を建て替え、駅前空間を一新しました。

 旧折尾駅では、JRの筑豊本線と鹿児島本線が駅舎の1階と2階で立体交差していました。駅南側には、JRの短絡線(通称、福北ゆたか線)も通っていました。ただ、短絡線の駅が約150m離れた位置にあったため、相互の乗り換えが不便でした。

 そこで、市やJR九州は3路線を高架化して、駅舎機能を1カ所に集約する事業を推進。2021年1月に新駅舎を開業し、22年3月に全線を高架化しました。さらに、23年4月には、駅北側に約9800m2に及ぶ駅前広場を完成させました。

 上の写真は、生まれ変わったJR折尾駅と高架線路、新たに整備した北側駅前広場です。新駅舎には、約100年にわたって地域に愛された旧駅舎の面影を残す仕掛けが施されています。どのような仕掛けでしょうか。3択です

 

 

 

正解はこちら

2.駅構内床下のかつての軌道の位置にレールを埋め込んだ

駅構内の床下に設置したレールモニュメント。床面には筑豊本線と鹿児島本線が交差するレール跡を表示した(写真:イクマ サトシ)

駅構内の床下に設置したレールモニュメント。床面には筑豊本線と鹿児島本線が交差するレール跡を表示した(写真:イクマ サトシ)

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北側駅前広場の「線路跡モニュメント」。延長すると駅構内のモニュメントとつながる(写真:イクマ サトシ)

北側駅前広場の「線路跡モニュメント」。延長すると駅構内のモニュメントとつながる(写真:イクマ サトシ)

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 新駅舎では、旧駅舎の面影を残す仕掛けとして、駅構内のコンコースの床下に、筑豊本線で使っていたレールを埋め込みました。かつて筑豊本線が通っていた位置を示すためです。

 北側駅前広場にも、筑豊本線が通っていた位置に、レールと枕木を再利用したモニュメントを置きました。レールを延長していくと、そのまま駅構内のコンコースに配置したレールにつながります。

 新駅舎の外観デザインは、木造の旧駅舎を踏襲しました。当初は駅舎のデザインを一新する予定でしたが、地元の街づくり団体の要望などを踏まえ、旧駅舎の建設当時の姿を再現する計画に変更しました。

 ファサードで一番目立つ正面中央の上部には、自由な形をつくりやすいガラス繊維補強セメント板を使用。旧駅舎にあった木の化粧柱のイメージを再現しました。

 旧駅舎のシンボルとして親しまれた待合室のベンチは、一部を新駅舎の待合室に移設しました。旧駅舎の待合室の格子天井や開口部周りの装飾は、劣化が激しかったため、解体前のデザインを新駅舎で忠実に再現しました。

新駅舎の正面中央の上部ファサード(写真:イクマ サトシ)

新駅舎の正面中央の上部ファサード(写真:イクマ サトシ)

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 新駅舎や駅前広場を訪れた利用者からは、「駅前空間に人が集まるようになり、にぎわいが以前と全く違う」「旧駅舎の面影を残しつつ、使いやすくなった」といった声が聞かれます。

 折尾駅を単なる通過点ではなく、様々な活動が生まれる場所にしたい──。そう考える市は25年度にも、駅南側に約8000m2の広場を整備する予定です。

整備前後の駅舎(出所:JR九州の資料に日経クロステックが加筆)

整備前後の駅舎(出所:JR九州の資料に日経クロステックが加筆

 

 

 

 

 

 

写真で見る「JR折尾駅と北側駅前広場」

旧木造駅舎のデザインを踏襲した新駅舎。駅舎正面には幅員約20mの空間を確保した(写真:イクマ サトシ)

旧木造駅舎のデザインを踏襲した新駅舎。駅舎正面には幅員約20mの空間を確保した(写真:イクマ サトシ)

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左は建て替え前、右は建て替え後の駅舎。建設当時の資料がない中、JR九州が作製した木造駅舎の調査図面などを手がかりに建設当時の駅舎の再現に努めた(写真:右はイクマ サトシ、左は赤川 貴雄)

左は建て替え前、右は建て替え後の駅舎。建設当時の資料がない中、JR九州が作製した木造駅舎の調査図面などを手がかりに建設当時の駅舎の再現に努めた(写真:右はイクマ サトシ、左は赤川 貴雄)

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改札外の待合室。旧駅舎で使われていたベンチの一部を移設した(写真:イクマ サトシ)

改札外の待合室。旧駅舎で使われていたベンチの一部を移設した(写真:イクマ サトシ)

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北東側上空から見たJR折尾駅と北側駅前広場(写真:フューチャースタジオ)

北東側上空から見たJR折尾駅と北側駅前広場(写真:フューチャースタジオ)

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動線部分をカラー舗装で明確にして歩行者空間の快適性を向上。動線部分の両側には祭りなどのイベント時に人が滞留できる空間を確保した(写真:イクマ サトシ)

動線部分をカラー舗装で明確にして歩行者空間の快適性を向上。動線部分の両側には祭りなどのイベント時に人が滞留できる空間を確保した(写真:イクマ サトシ)

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植栽を囲むように配置した木製ベンチ。植栽との間にゴムチップを敷き詰めて、休憩時の利用だけでなく、子どもが遊べる空間に仕立てた(写真:イクマ サトシ)

植栽を囲むように配置した木製ベンチ。植栽との間にゴムチップを敷き詰めて、休憩時の利用だけでなく、子どもが遊べる空間に仕立てた(写真:イクマ サトシ

 

 

 

 

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