アルトマン氏、ChatGPTのオープンAIを退社-取締役会と対立か
(ブルームバーグ):
対話型人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」の開発元である米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が退社する。
取締役会が17日、発表した。ミラ・ムラティ最高技術責任者(CTO)が暫定CEOに就任する。
オープンAIは声明で「取締役会による徹底した検証の結果、アルトマン氏は取締役会とのコミュニケーションにおいて常に率直ではなく、取締役会の責任遂行に支障をきたしているとの結論に至った」と説明。
「取締役会はアルトマン氏がオープンAIを今後も率いていく能力をもはや信頼できなくなった」と述べた。
ムラティ氏は
2018年にオープンAIに入社。
昨年CTOに就任していた。
オープンAIは声明で、在職期間の長さや会社のあらゆる面に密接に関わってきたムラティ氏が暫定CEOに適任だと判断したと説明。
正式なCEOが決まるまで円滑な移行を想定しているとした。
オープンAIの共同創業者で取締役会長を務めていた
グレッグ・ブロックマン氏は
同職を辞め、
社長も辞任。
X(旧ツイッター)に「きょうのニュースに基づき、私は辞めた」と投稿した。
ブロックマン氏は17日遅く、同氏とアルトマン氏は会社の決定に驚いているとコメント。「サムと私は取締役会のきょうの決定にショックを受け、悲しんでいる」と表明し、「われわれも何が起こったのかを正確に理解しようとしているところだ」と記した。
同社はAI業界をリードする存在であり、860億ドル(約12兆8700億円)の評価額で従業員の株式を売り出す方向で投資家と交渉を進めている。この評価額での売却が実現すれば、世界最大級の新興企業となる。
オープンAIに100億ドルを投じている米マイクロソフトの株価は
アルトマン氏退社のニュースを受け、
一時2.4%下落した。
同社は資料で、
「オープンAIとは長期的な関係を築いており、次の時代のAIを顧客に提供するため、彼らのチームに引き続きコミットしていく」と表明した
ムラティ氏はマイクロソフトのCEOとCTOと話し、「彼らは揺るぎない支持を示した」と文書で明らかにした。同氏は文書でアルトマン氏には触れていない。
アルトマン氏はオープンAIでの時間を愛していたとXに投稿。次のことについては後でもっと話すつもりだとコメントした。
見解の相違
事情に詳しい1人の関係者によれば、アルトマン氏の退社は取締役会や特に共同創業者でチーフサイエンティストのイリヤ・サツキーバー氏との間で広範な意見の対立があったことを受けたものだという。
AIの安全性や技術開発のスピード、オープンAIの商業化などの点で見解の相違があったと、非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。
アルトマン氏の野心も影響したようだ。同氏は中東の政府系ファンドから巨額の資金を調達し、エヌビディアのプロセッサーに対抗するAI向け半導体のスタートアップを始めようとしていた。
アルトマン氏はまた、元アップルのデザイナー責任者ジョニー・アイブ氏と組んでAI向けハードウエアを製造する新会社への投資をソフトバンクグループの孫正義社長に求めていた。
この関係者によると、サツキーバー氏および同氏を支持している取締役役は、アルトマン氏がオープンAIの社名を用いて資金を調達しながら、これらの新会社がオープンAIと同じ企業統治モデルを共有していないことに不満を抱いていた可能性があるという。
原題:Altman to Leave OpenAI After Board Says He Wasn’t ‘Candid’ (1)、OpenAI Ousts Altman as CEO; Board Says It Lost Confidence in Him、Sam Altman Says ‘Will Have More to Say About What’s Next Later’、OpenAI CEO’s Ouster Followed Debates Between Altman, Board (2)(抜粋
--取材協力:西前明子.
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Rachel Metz
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