多角形断面のボールト屋根、木質の無柱空間を包み込む設計者自邸

東根の家(山形県東根市) 設計:鍋野友哉アトリエ、施工:中村建築

鍋野  友哉
 

鍋野友哉アトリエ

山形県東根市の住宅地に立つ、設計者(筆者)の自邸である。大胆な構造形式や空間構成、施工と製材の分離発注など、実験を兼ねた様々な取り組みに挑戦している。

左:南東側から見る。木造在来軸組み工法の“四角い箱”を、ボールト形式の屋根が覆う。多角形断面の屋根架構は、北側外壁の桁上と南側の基礎部の土台で支持し、南側全体を覆うように架けている 右:妻側に設けた開口部。ステンレスと木の特注サッシによるFIX窓だ。屋根の薄さや軽さを際立たせる。外観は、在来工法の部分を左官仕上げとし、ボールト屋根部と見え方を分けた(写真:繁田 諭)

左:南東側から見る。木造在来軸組み工法の“四角い箱”を、ボールト形式の屋根が覆う。多角形断面の屋根架構は、北側外壁の桁上と南側の基礎部の土台で支持し、南側全体を覆うように架けている 右:妻側に設けた開口部。ステンレスと木の特注サッシによるFIX窓だ。屋根の薄さや軽さを際立たせる。外観は、在来工法の部分を左官仕上げとし、ボールト屋根部と見え方を分けた(写真:繁田 諭)

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 山形盆地の北部に位置するこの市域は、敷地の近くを流れる最上川水系の白水川などによって形作られた扇状地である。敷地は東側に御所山、西側に山岳信仰の地として知られる出羽三山を望む。北西側には道路を挟んで見通しの良い公園が広がっている。立地と敷地形状から、南東から北西の方向を計画上の軸線に据えた。

 建物のファサードは扇形で、木造在来軸組み工法の外壁に立てかけるようにボールト形式の屋根をかぶせた。多角形断面の屋根が円弧を描くように、木質の無柱空間を包み込む。最大で天井高6.8mになる。

断面詳細図

断面詳細図

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 屋根の下は吹き抜けとし、軸線が通る妻側に大きな開口部を設けた。縦と横に抜け感のある空間構成としながら、屋根の薄さや軽さを際立たせる効果を狙ったものだ。延べ面積は143m2。1階のキッチンや和室、浴室、2階の主寝室などの機能性が必要となる諸室は、在来軸組みに収めた。

東側から室内を見渡す。屋根架構にはCLT(直交集成板)と同様の構造を持つスギ3層クロスパネル「Jパネル」から切り出した部材と、仕上げ材を兼ねる合板部材を用いた(写真:繁田 諭)

東側から室内を見渡す。屋根架構にはCLT(直交集成板)と同様の構造を持つスギ3層クロスパネル「Jパネル」から切り出した部材と、仕上げ材を兼ねる合板部材を用いた(写真:繁田 諭)

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2階平面図

2階平面図

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1階平面図

1階平面図

 

 

 

多角形断面のボールト屋根、木質の無柱空間を包み込む設計者自邸 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)